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医療法人の税務調査。そのポイントや対策とは?

19.10.01 | 業種別【医業】

国税庁の『平成29事務年度法人税等の調査事績の概要』によると、医療法人を含めた法人全体の税務調査は毎年約10万件近く行われています。
国税庁の税務調査が入ったときにあわてないためにも、今回は、医療法人が聞かれやすいポイントや対策についてご紹介します。

税務調査と現況調査の違いとは?

『税務調査』はその名の通り、納税の申告内容に誤りがないかどうか、国税庁が管轄する国税局、税務署などが行う調査です。
医療機関への税務調査というと、突然病院に乗り込んでくるイメージがあるかもしれません。
しかし、それは税務調査ではなく『現況調査』にあたります。
現況調査は、すでに脱税の疑いが生じているなど、悪質なものに対して行われます。
税務調査は原則として事前に連絡があります


税務調査に入られやすい法人の特徴とは?

先述の概要のなかで国税庁は、法人の税務調査に対して大口・悪質な不正計算が想定される法人など、調査必要度が高い法人(中略)について実地調査を実施したと明言しており、医療法人を含めて、実際に税務調査を受けた約74%の法人から法人税の非違が見つかっています。
このことから、国税庁はある程度当たりをつけて税務調査を行っていることがわかります。
税務調査の対象となりやすい医療法人の特徴として、以下のような特徴があげられます。

・医療法人の利益が急増した、または急減した
・医療に関わる経費が急増している
・過去、医療法人に税務調査が入ったときに追徴課税を受けている
・医療法人を設立して3年目である
・これまでにはなかった勘定科目ができており、さらに計上されている額が大きい


税務調査のチェックポイントと流れ

もしも税務調査が入ることになった場合、見られやすいチェックポイントをまとめました。

法人・個人にかかわらず共通するチェックポイントとしては
・医業経費率、検査率などがほかの年と比べて変動していないか(している場合はその理由)
・接待交際費の詳細や、保険請求収入の処理を正確に行っているか
・市町村から助成がある医療費や健康診断、予防接種などを計上できているか
・自由診療が多い場合は、適切に売上が計上されているか
です。

個人の開業医のチェックポイントとしては
・自宅とクリニックが同じ建物の場合、家賃や住宅ローン、水道光熱費などが按分されずに全額計上されているか
です。

次に税務調査の流れですが、現況調査とは異なり、基本的には事前に通知が来ます。
そして日程を調整した後に、当日税務職員が実地調査にやってくることになります。
そのため、税務調査の日程が決まったら、あらかじめ必要な書類を整備しておかなくてはなりません。
なお、顧問税理士や決算を依頼している税理士がいる場合は、事業主本人ではなく税理士のところに連絡が来るので、税理士と協力して進めていきましょう。
税務調査では帳簿の調査が行われるため、総勘定元帳や預金通帳、確定申告の申告書や領収書、請求書、給与関係書類などの基本的な書類は一通り揃えておき間違いがないか、再度確認しておきましょう。
そのほか、現金出納帳と実際の現金を合わせておく、金庫がある場合は中を整理しておくなどの準備も忘れずに行ってください。
当日は、質問されたことには答え、帳簿の開示請求があった場合は拒まずに開示をし、調査がスムーズに終わるよう協力する姿勢を見せることが大切です。
税務調査が終わった後で何らかの問題が発覚したときは、指摘を受けた問題箇所について修正申告を求められることになります。
反論があれば異議申し立てなどの対応をします。

税務調査が入ったときに慌てずに済むよう、チェックポイントと流れを押さえて、日頃から適切な会計処理をしておきましょう。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。

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