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自然災害で仕事ができなくなった場合に会社がすべきこととは?

19.12.19 | ビジネス【企業法務】

2019年は多くの台風や豪雨が発生し、交通網に支障が出るだけでなく、多数の地域で河川の決壊などの甚大な被害が生じた年でした。 
このような大規模な自然災害によって事務所や工場に被害が生じ、従業員が仕事をすることができなくなった場合、会社はどのような対応をとる必要があるでしょうか。 
今回は従業員に対する休業手当の支払いや見舞金の支給などについて、紹介していきます。

会社は休業手当を支払う義務があるのか

給与とは、従業員が会社に労務を提供することに対して支払われるものです。
そのため、従業員が仕事をしなければ(労務の提供がなければ)、給与の支払い義務は生じないことが原則となります。

もっとも、それでは従業員の生活が不安定となってしまうおそれがありますので、法律では仕事ができなくなったことについて、使用者に責任があるといえるかどうかを基準とし、『使用者の責めに帰すべき事由による休業』の場合には、平均賃金の60%以上の手当てを支払わなくてはならないとしています(労働基準法26条)。

台風による被災が使用者の責めに帰すべき事由による休業といえるかどうかという点については、ケースバイケースの判断となります。
しかし、使用者としては台風がくることを認識していたのであれば、休業を回避するための最大限の回避努力をしたかどうかが一つの分かれ目となると解されています。
そのため、河川の決壊による浸水のような場合には、使用者の責めに帰すべき事由とは判断されないと考えられます。
しかし、大規模災害のおそれがあるとの報道がなされていたにもかかわらず、何の対策もとらず、その会社だけが事業ができなくなったというような場合には、休業手当を支給せざるを得なくなるおそれがあります。


会社は従業員に見舞金を支給してもよいか

たとえば、事業所の一つや一部の工場のみが被災をしてしまい、休業手当を支給する必要がないと解される場合に、会社が被災をした事業所や工場に勤めている従業員にのみ見舞金等の金銭を給付してもよいのでしょうか。
この点については、休業手当の考え方から、会社が見舞金等を支給してもよいとされます。
もっとも見舞金については、支給金額や内容について相当性があることが必要とされます。

また、内容が相当と認められる場合には、会社の経費としても認められることとなりますので、会社の経営サイドとしては、被災した従業員に対する福利厚生の一環として、見舞金を検討することも一つの方法といえます。

従業員の生活の安定のためにも、適切な対応を行うようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2019年12月現在の法令・情報等に基づいています。

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