社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

20.03.26 | ミニコラム

<マネージャーは利他の働きの原則>

すべての人は就職活動をするときに、自分の適性を考えます。自分の過去
の20年前後の人生において、得意と思われるもの、または自分の適性があ
ると思えることから、自分の仕事を探します。

そのためその職業についた社員は、その得意と思われること、適性がある
と思える仕事をしながら組織貢献をすることになります。そうして組織貢
献をしながら、自分の成長を自分で喜び、そしてそれを褒め認めてもらう
段階を経験します。

その経験の最終ステージは一般職層でありながら、まだ仕事のできない同
僚や新人の社員に自分の学びを教えることです。この段階で他の社員に教
えることにどんなメリットがあるでしょうか。1つは、「教えることで2
度学べる」ということです。

優秀であればあるほど、自分で学んだ社員は苦労しながら成長した過去を
持っています。その苦労をさせずして他の社員を教えて成長させることは、
何か損の道を行くような思いに駆られる人もいるでしょう。

「自分で苦労して覚えることが一番だ」という発言をする先輩社員がいる
のも当然です。ところが損の道かもしれない「他の社員に教える」という
ことに挑戦した社員は、これまでよりもっと大きく成長をするのです。

教えることは簡単ではありません。言葉で伝えるだけでは、教えた相手が
できるようにならないからです。どうしたらできるのかを考えることで、
自分の行動や知識や技術を振り返ることになります。その振り返りが、自身
に様々なことを教えてくれるのです。

2つ目は、中堅職層にステップアップした際に、有利になるということです。
他の社員に教えられるようになる頃、教えている社員は一人前という一般職
層最大の評価を受け、中堅職にステップアップすることになります。中堅職
層になる前に教えることに挑戦することは、一般職層の段階で助走をつける
ことです。

中堅職層ではこの「他の社員を成長させる」ことが業務の中心になってきます。
一般職のうちに教えることに挑戦した社員は、中堅職層にステップアップし
た際に、挑戦しなかった社員よりもスムーズに部下を成長させることができ
るでしょう。

そして、成長させることが上手にできるようになると、それを評価され、中
堅職層の中でステップアップしていくことになります。それに伴って、一般
職層とは違った昇給や賞与を得ることになるでしょう。そういった、処遇と
マネジメントをすることの関係も、メリットとして否定はできません。

しかしこれらのメリットがあるから、教える人が飛躍的に成長するわけでは
ありません。自利から利他の働きに変わることが、飛躍的な成長を生むのです。

上司本人が好きなように部下を決められることはありません。部下となる社員
を採用するのは会社です。好きな社員も嫌いな社員もいるでしょう。相性の
合う社員も合わない社員もいます。

部下を成長させることは、そういった好き嫌いや相性を取っ払って、すべて
の部下の人生を花開かせることに他なりません。その社員のためを思ってマ
ネジメントをするのです。

マネジメントすることがあまり上手ではないという社員は、自利の世界から
抜け出すことができていない社員であるとも言えます。これに経営者は気が
付く必要があるでしょう。

会社自身は世の中に貢献するということを考えています。つまり、会社組織
全体が利他の組織ということになります。であれば、社員は誰しもがいつか
は利他の働きに邁進していかなければならないと言えます。そしてマネジメ
ントとはその入り口です。
 
経営者が優秀な社員ほどマネジメントの仕事に挑戦させるのは、自利から利他
へ、働き方を変革させたいと思っているからでしょう。それは経営者自身が利
他の世界へ挑戦したことによって、自身が大きく成長したことを知っているからです。
 
それを次の社員にバトンタッチしようとすることが、マネジメントの仕事の権
限委譲と言わざるを得ません。他の社員に教えること、利他の大切さを伝え、
すべての社員に教えることへ挑戦させ、利他の働きに邁進させてください。

    = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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