宮田総合法務事務所

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介護施設の面会緩和を厚労省が要請

20.10.19 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

2020年10月15日の日本経済新聞の記事によりますと、厚生労働省は、新型コロナウイルス対策のため介護施設における家族らの面会を制限していた方針に関し、感染防止策を徹底するなどの条件付きで緩和することを都道府県や介護関係団体に通知した、とのこと。

この面会制限の緩和措置は、コロナ対策を厚労省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」で示され了承されたもので、この通知によると、地域での発生状況や都道府県などが示す対策の方針を踏まえ、施設側が制限の程度を判断することになる。

感染対策として、面会に来た家族らにマスク着用や面会前後の手指の消毒、飲食や大声での会話を控えるように要請するとともに、看取りや寝たきりでなければ、居住する部屋ではなく、換気可能な別室(面会室・相談室など)で会うことを要件としている。
他に、家族らはなるべく施設内のトイレを使わず、面会時間を最小限にとどめ、1日当たりの回数制限を設けることも必要とした。
オンラインでの面会も引き続き選択肢として考慮するよう求めている。

これまで厚労省は、看取りなど緊急時を除き面会制限を掲げてきたため、 面会制限については厳しいを姿勢を貫いている施設が多い。

ただ、実際の面会制限については、介護施設によってまちまち。
家族であっても面会禁止でZoomによる面談のみ許可される施設、毎月1回家族なら10分だけ面会が許される施設、換気がしやすい玄関先でなら30分面前で話ができる施設など・・・。
もちろん、入所者自身の外出も禁止又は大幅な制限を受けている。

これらの制限措置を受けて、高齢の入所者にとっては、ストレスが溜まってきていることに加え、何よりも刺激や張り合いがなくなり認知機能の低下、認知症の進行を懸念する声が多い。

小職のお客様でも、実際に老親の認知症の進行を痛感しているという話は度々出てくる。
また、弊所における家族信託の設計コンサルティングの前提となる「家族会議」がなかなか開催できず、お打合せが中断しているケースや「家族会議」による検討の進行スピードが大幅に遅くなってしまっているケースも少なくない。 

入所者家族、認知症の人たちの支援団体や介護従事者からの緩和を求める声を受けての通知は、もはや、必然とも言えなくもない。

厚労省は、面会制限の緩和等について最終的な判断は施設側に委ねるとする一方、今後感染防止に配慮した面会方法などの具体例を示す方針だ。


クラスターを絶対に発生させてはならないという施設側の重責・苦労・想いは、我々の想像を超えているのかもしれないので、簡単でないことは承知しているが、 これをきっかけに、新型コロナウイルス感染対策・インフルエンザ予防を徹底しながらも、入所者及びその家族がもっと穏やかに通常のコミュニケーションを図れる機会が増え、本人の認知機能の維持・向上や家族による老後・相続の備えがよりしやすくなるような施設側の対応に期待したいところである。


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