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メトロコマース事件、大阪医科薬科大学事件の最高裁判決要旨

20.11.09 | 労働ニュース

 最高裁は13日、正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じた労働契約法20条(2018年改正前)の解釈をめぐり注目を集めた2事件について、いずれも原告の訴えを斥ける判断を示しました。

◇アルバイト職員に対する賞与不支給などが不合理な格差に当たるとして争われた大阪医科薬科大学事件では、1審で原告が比較対象として主張した教室事務員の正社員との比較について、最高裁は業務内容に共通する点がある点を認めた一方、正社員のみが行う英文学術誌の編集事務、病理解剖に関する遺族対応などの具体的な業務や人事異動の可能性などの相違点を指摘。これらを踏まえ、アルバイト職員への賞与不支給について、「不合理であると評価することができるものとはいえない」と結論づけ、「原告と同時期に新規採用された正社員賞与の60%を下回る支給は不合理」とした高裁判決を破棄して原告の損害賠償請求を斥けました(裁判官全員一致)。

[判決文全文]

  https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/768/089768_hanrei.pdf

 

◇売店での販売業務に従事する契約社員に対する退職金不支給が争点となったメトロコマース事件では、比較対象とされた売店業務に従事する正社員の業務内容について、契約社員の業務とおおむね共通するものの、販売員が休暇・欠勤時の代務や販売員への指導・サポート、エリアマネージャー業務に従事するなどの違いや配置転換の可能性が正社員のみにある点などを指摘。契約社員の有期契約が必ずしも短期雇用前提のものとはいえず、原告らも10年前後勤続している点を斟酌しても、退職金の支給に関して労働条件の相違があることは「不合理であると評価することができるものとはいえない」と判断し、退職金の功労報償分として正社員基準の4分の1に当たる金額の支払いを命じた高裁判決を破棄しています。
 この判決に当たり、最高裁の宇賀克也裁判官は、功労報償の性格を有する部分に係る退職金すら契約社員に支給しないことが不合理であるとした高裁の判断は是認することができる、との反対意見を示しています。

[判決文全文]

  https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/767/089767_hanrei.pdf

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