宮田総合法務事務所

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民法改正で変わった個人の保証人制度とは?

21.02.02 | ビジネス・事業経営にお役に立つ情報

民法の改正により、令和2年4月1日以降に締結される事業用融資の個人事業の保証について、保証人となろうとする個人の保証意思を確認するための公正証書の作成が必要となりました。

この公正証書のことを「保証意思宣明公正証書」といいます。

◆保証契約より前に公正証書の手続きが必要

事業用融資の保証契約について、個人が保証人となる場合には、保証人となる者の保証意思を公証人が確認した公正証書を、保証契約に先立って作成しなければならないこととなりました。
つまり、「保証意思宣明公正証書」の作成作業を経ずに締結された事業用融資の保証契約は効力を生じないことになります。
事業用の債務はその金額が大きいにもかかわらず、個人的な義理や人情からリスクの内容を十分に理解せずに保証契約をしてしまい、返済ができずに生活が破綻してしまうという事例が多くみられ社会的に問題となっていました。
そこで、個人保証人の生活破綻を防ぐために、民法改正により保証人の保証意思を公証人が事前に確認するという厳格な手続きを求めることになりました。

◆保証意思宣明公正証書が必要な場合とは?

(1)「事業のため」に負担した貸金等債務についての保証契約に限定 

まず、「貸金等債務」とは金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務等を言います。 
その上で、「事業のために負担した貸金等債務」とは、借主が借り入れた金銭等を自らの事業に用いるために負担した貸金等債務を言います。 
例えば、居住用不動産を建設、購入するために負担した債務(住宅ローン)や学資金のために負担した債務(学資ローン、奨学金)は、上記の「貸金等債務」には当たりません。 
他方、賃貸用のアパート・マンション等を建設、購入するために借り入れる債務(アパートローン)は、賃貸事業のためと言えますので、上記「貸金等債務」に当たります。 
なお、「事業のために負担した貸金等債務」に当たるかどうかは、借主(主債務者)が貸金等債務を負担した時点で判断されます。 
つまり、貸付が行われた時の経緯や事情を基に判断されますので、住宅購入資金として借入れをしたにもかかわらず、その後事業資金として用いてしまったとしても、そのために 
事後的に「事業のために負担した」ものとなることはありません(保証契約が事後的に無効になるわけではありません)。 


(2)「個人」が保証をする場合に限定 

この新制度は、保証人となる個人が安易に保証契約を結んでしまい生活破綻に追い込まれることを未然に防ごうとする制度なので、個人が保証になる場合に適用されます。 
ただし、個人が保証人となる場合でも、主債務者が法人である場合や主債務者と共同して事業を行う者が保証人になる場合など、一定の要件に該当する場合は公正証書の作成は不要となります。 


◆保証意思宣明公正証書作成の注意点とは?

保証意思宣明公正証書は、保証契約締結の日前1か月以内に作成する必要があるので、保証契約締結までのスケジュールには注意が必要です。
保証契約締結の日前1か月よりも前に作成しても保証契約は無効であり、また、保証契約後に作成しても保証契約が有効になることはありません。


※「保証意思宣明公正証書」に関するより詳しい記事は、こちらをご覧ください↓↓↓
https://legalservice.jp/topics/20728.html

 

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