税理士法人SKC

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G20が国際課税の「歴史的合意」

20.07.27 | 堺俊治の独り言的情報

今月の10日にイタリアのベネチアで開催されたG20の財務相・中央銀行総裁会議において、法人税率を各国共通で「15%以上」とする最低税率の導入で合意したと報道されました。

 現在の経済活動は100年前の限定された地域活動から常に地球規模の展開を視野に入れた経済活動が当たり前となっています。そのためWHOなどを組織して、国家間経済活動のルールを取り決めたりをしてきたのでしょうが、国際課税のルールは100年間ほぼ変更されないままできた結果、タックスヘイブン(租税回避地域)を国策とする地域や国の出現で、そのタックスヘイブンを過剰に利用して過大な課税逃れをする企業や富裕層が大きな問題となっています。2015年にパナマ文書が漏洩して、世界中の2万社を超える大企業や政治家や経営者のタックスヘイブンでの課税逃れ口座が明らかになり大問題にもなりました。莫大に金を稼いでいる企業や経営者が多大な税逃れをしていることが明らかになり、所得格差を生み出す原因にもなっていることが明らかになったのです。そのうえ単に課税逃れだけではなく、不法な資金(脱税など)や闇取引での資金(麻薬など)を通常の経済取引で流通できるようにマネーロンダリング(資金洗浄)するためにもタックスヘイブンが利用されているそうで、私はこのころから国連がSDGsなどを掲げるのなら、先ずこの問題の是正から取り組むべきで、国連のSDGsなどただのきれいごとの空論だと感じてきました。本質的な課題を避けて、きれいごとを掲げるのはどう見ても「胡散臭い」と思うのです。タックスヘイブンで逃れている課税額が年間凡そ40兆円といわれています。この資金でSDGsの目標など直ぐに達成されると思いませんか。ビニール袋3円にどんな意義があるのかです。
 現在オリンピックが開催され、世界中のアスリートが全く同じルールで競っています。もはや世界の経済活動も基本的には同じルール上で実施されるべきでしょう。その為には世界の法人税率を15%以上に統一するというのはOECD(経済協力開発機構)の大金星だと思います。私が税制と常に向き合ってきた仕事だからということもありますが、私にとってはここ数年来のトップニュースです。そしてOECDは、大手IT企業(GAFAなど)に対して「デジタル課税」という新たな税制の導入も決めたようです。GAFAなどの世界中に多国籍に展開する巨大IT企業は、これまでの様に工場や支店などの物理的課税拠点がないため、旧来の税制では課税対応が困難との判断で「デジタル課税」が創設されるようです。しかしながら当然のごとく反対勢力は存在します。何とか反対勢力の圧力に屈することなく、早急に全世界に「法人税率15%以上」「デジタル課税」を導入し、施行されることを望みます。

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