宮田総合法務事務所

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遺言書の中でできる「遺留分対策」「争族対策」とは?

23.12.16 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

みなさんは「遺留分」をご存知でしょうか。
遺留分とは、特定の相続人に対して法律で保障された最低限の遺産を受け取る権利のことです。
原則として遺言内容よりも遺留分が優先されるため、遺言書作成時には、遺留分侵害の有無の確認や遺留分への配慮・対策が重要になります。
そこで今回は、何らかの理由で遺産を渡したくない推定相続人がいる場合において、遺言書作成時に(遺言書の中で)できる遺留分対策を一部ピックアップして紹介します。

≪ 遺言書の中でできる遺留分対策 ≫

●遺留分権利者に遺留分相当額を分割で支払う旨を規定する

遺産をより多く受け取る相続人(遺留分を侵害している相続人)は、遺留分権利者(遺留分を侵害されている相続人)から遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分侵害額を一括で支払うことが原則になります。
したがって、遺留分を侵害する内容の遺言を遺しただけでは、相続発生後に、「遺留分侵害額」がいくらになるかの認定から争いになり、さらにそこで算定された遺留分侵害額は一括で支払うように請求されることになります。
そのリスクを軽減するために、遺産をより多く受け取る相続人に、遺留分権利者に対して、遺留分相当額又はそれ以上の金額を分割して支払う旨の条項を敢えて遺言書の中に規定しておくことが考えられます。こうすることで、その遺言内容が遺留分を侵害していなければ、遺留分権利者は、文句をつけることができず、遺留分侵害額請求の調停や訴訟を起こすこともできなくなり、将来の紛争リスクを回避することができるかもしれません。

●付言事項にメッセージを残す

遺言書には遺言内容のほかに、付言事項をつけることができます。
この「付言事項」とは、法的効力はありませんが、遺言書の末尾に、家族等への感謝や、なぜこのような遺言内容にしたか等の想いをメッセージとして書き記すものです。
付言事項に遺言者の気持ちや遺される家族への配慮、紛争を望まない旨の希望などを記載しておくことで、その付言を読んだ家族に納得感が生まれたり、あえて遺留分侵害額請求をして争おうとは思わなくなる心理的な紛争抑制効果があります。

●遺言書の相談と併せて遺言執行者に司法書士を指定しておく

相続の専門家である司法書士に遺言書を相談することで、遺留分への配慮や、争族対策として効果的な遺言書の文案を作成してもらえます。それと併せて、遺言執行者に司法書士を選任しておくことも、相続人のストレス軽減やトラブル回避としては有効です。
遺言執行者とは、遺言内容を実行する役割を担う人のことで、相続人など原則誰でもなることができます。しかし、遺言執行者は、単に銀行や証券会社を回って解約払戻や名義変更の手続きをするだけではなく、相続人全員に遺言内容を開示したり、遺産目録の作成・開示などをする役割も担います。円満ではない他の相続人と連絡を取ることや、その相手方から攻撃的な内容の連絡を受けることもあり得ます。
したがいまして、遺言書の作成相談と併せて遺言執行者に司法書士を指定しておくことで、将来、煩雑な遺言執行手続きをすべて任せると共に、紛争性のある相続人同士の間に入って、緩衝材や防波堤の役割を担うことで、無用なストレスやトラブルが生じることを防ぐ効果も期待できるでしょう。


以上、今回は遺言書の中でできる遺留分対策を一部ピックアップして紹介しました。
他にも、例えば、生前贈与、生命保険の活用、養子縁組・・・など、遺留分対策の施策はいくつもあり、どの施策を採用するか、あるいは複数の施策をどのように組み合わせるか、という難しさがあります。
遺留分を侵害するような遺言内容をお考えの方、遺留分対策・争族対策についてお悩み・お困りの方は、一度当事務所にお気軽にご相談ください。

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