税理士法人ユリウス

国際課税にかかるルール決着、企業に対応義務

15.03.10 | ニュース・情報

OECD(経済協力開発機構)が策定を進めていた国際課税の新ルールが先月最終決着しました。

これによって、グローバル企業は2017年末にも世界にある拠点の税務情報を税務当局に提出する義務を負うことになります。
日本企業には海外グループ企業の管理がまだ充分でないところも多いとされ、国際税務の専門家の確保や組織の充実が急務といえそうです。

(2015/3/9日経朝刊より)

国境をまたいだ親子会社間の取引により節税を図る「移転価格税制」を巡り、OECDではその実態を把握するための国際的なルールの策定を行ってきました。

新ルールでは、海外に拠点を持つグローバル企業に対して、
・マスターファイル(グループ組織の全体構造などの基本情報)
・ローカルファイル(各国の拠点間の取引情報)
・国別レポート(国別の収益や納税額など)

の3つの文書を作成し、本社のある国の国税当局に提出することが決められました。

国税当局では、提出されたレポートを基にグローバル企業の国別情報を把握した上で、海外の税務当局の求めに応じて上交換を行い、租税回避行為が無いか目を光らせて行くということになります。

このルールは、今後各国で法制化され、対象企業は事業年度終了から1年度に国別レポートの提出を義務付けられることになっています。
新ルールは2016事業年度の終了の日から1年後に設定され、最初の提出期限は3月決算の会社で2018年3月となる見通しです。

新ルールでは、マスターファイルは日本では義務付けられてこなかった項目が多く、国別レポートはすべてが新たに作成が必要になるなど、企業の事務負担は重いと考えられています。

提出を求められる3つの文書のうち、国別レポートは、連結売上高で7億5000万ユーロ(約1000億円)以上の企業に提出義務を課すことを勧告しており、世界全体で約9割の会社は提出が免除される見込みと考えられています。

一方、マスターファイルとローカルファイルについては、提出免除規定はなく、今後どの範囲で提出を求められるかは各国の法整備に委ねられます。

我が国でもどの範囲の企業がどの書類の提出を義務付けられることになるか、今後議論されることになりますが、中小でも活発な海外進出を進めている企業も多く、今後の動向に注目が集まりそうです。


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