税理士法人SKC

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君たちに憎しみという贈り物はあげない

15.11.20 | 堺俊治の独り言的情報

パリでの無差別な殺戮で亡くなった方々に衷心から祈りと共に、この私が大好きなピカソの花束を捧げます。
この無差別な殺戮で妻を亡くした仏人映画ジャーナリスト、アントワーヌ・レリスさん(34)がFACEGOOKに書いた「金曜の夜、最愛の人を奪われたが、君たちを憎むつもりはない」という書き出しで始まる文が注目を集めています。

フランスからの独立運動を描いた「アルジェの戦い」という記録映画を20代のころ観ました。その記録映像の、アルジェの街中やスタジアムで独立戦線が仕掛けた爆弾が爆発するシーンが印象的に記憶に残っています。当時、大国に対抗するにはこんなやり方しかないのかも知れないと思った記憶が有ります。この戦いは、アルジェリアが独立することで終わったのでしょうが、このISとの戦いには終末が見えてきません。ISに集まっているメンバーの多くは、これまで白人社会、特に仏国から、抑圧され搾取されてきたと強い憎悪を抱いているアラブ系民族が多いのです。今度の空爆だけでなく、過去に何度も石油の利権のため、仏国はシリア、中東を支配しようとし、英国と競って植民地化もしてきています。また、アラブ系の移民の若者が白人社会の中で全く将来に希望を持てない中、ISに全ての不満の解消を求めることも起きているようです。自分の20歳前後のことを考えると、その気持ちが判らない訳ではありません。でも、私はだからと言ってISを支持している訳では全くありません。しかし、これから先、ISを恨み、ISといかに戦い、いかにせん滅するか、いかに勝利するかだけで進んでも、また新たなISの反抗が始まるだけで、同じ事の繰り返しのように思います。
私たちは常に邪魔する者と戦い、敵をつくり、戦略・戦術をを練っています。経営も経営戦略です。経営も戦いにしてきました。レッドオーシャンからブルーオーシャンへと言いつつ、そのストーリーを練るのではなく、戦略・戦術を練らねばならないのです。目的・目標(ビジョン)に向けて物語(ストーリー)を練って、組み立てるということもできます。経営は戦争ではないのだから・・・と思うのです。
「君たちを憎むつもりはない」この言葉を知った時、負の連鎖を断つにはこの立ち位置しかないと、改めて感じさせられました。どうすれば、ISを生み出した環境そのものを変革出来るのかを、世界中で問うていく以外に未来に希望の道は見えてきそうになさそうです。
しかし、とても難しいと思うのは、私が妻を殺されたとしたら、アントワーヌ・レリスさんと同じような立ち位置には、とても立てそうにないと思うからです。

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