TFSグループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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残されたフロンティア『民主化後のミャンマー』 ~中小企業の海外進出を考える~

15.12.14 | 国際

■ アウン・サン・スー・チー女史「The Lady」の衝撃

先月11月12日、ミャンマーでアウン・サン・スー・チー女史率いるNLD(国民民主連盟)が政権交代を実現!とのニュースを聞きながら・・・数年前、シンガポールに向かう機中で、映画「The Lady」を見たときの衝撃を思い起こしていました。

1988年、病気の母を見舞うために、家族そろって住んでいたイギリスから、2週間の予定で単身一時帰国。
「ビルマ建国の父」アウンサン将軍の娘、スー・チー女史を待っていたのは、民主化を熱く望むミャンマー国民。。。
そして、50万人もの聴衆の前での演説が、女史の運命を大きく変えていくのです。

2週間の予定が、なんと20年以上にもわたって、ミャンマーでの拘束・軟禁が続き・・・
イギリスに居住する夫の入国も認められず、一度出国したら再入国できないことを知る女史は、がんに罹患した夫の最期にも立ち会えず、生きて夫婦が再会することなく・・・
最愛の息子達ともほとんど会えず、ノーベル平和賞授賞式にも出席できず・・・
今日まで、ミャンマーの民主化のために、すべてを捧げてきた女史の半生を描いた映画が「The Lady」です!

まさに映画の世界でしかなかったミャンマー・・・
日本の明治維新にも匹敵するといわれる“民主化”を果たし、今、世界で最も注目を集める国!
『民主化後のミャンマーに果たす、日本の役割』を、この目で確かめてきました。

■ 60年以上、紛争が途絶えなかったミャンマー

 
ミャンマー、ヤンゴン・・・
昔の呼称でいえば、「ビルマの竪琴」のビルマ、ラングーンです。

約7割を占めるビルマ族はじめ8つの中心民族、
そのほかなんと135もの少数民族が暮らします。
国民の9割が、仏教徒。
面積は約68万k㎡、日本の約1.8倍。

タイ、ラオス、インド、中国、バングラデシュという5つの国と
国境を接する地理的特性に加えて、多民族国家でもあることが
複雑に絡み合って、1948年のイギリスからの独立以来、
60年以上にもわたって紛争が途絶えなかった国でもあります。

かつては、アジアの中でも豊かな国に属していたミャンマーは、
1962年、軍事クーデターで軍部が政権を掌握、社会主義政権に。
国際社会から孤立し、経済が大きく低迷してしまった
「暗黒の時代」を迎えます。

国民の反動で、社会主義政権が崩壊する渦中、
1988年、まさにスー・チー女史が(2週間の予定で?!)帰国するのです。


■ 『日本大好き』な親日国!

今の主な産業は、農業・鉱業などです。

主要な輸出国
は、
①タイ②中国③インド④日本・・・

主要な輸入国は、
①中国②シンガポール③タイ④日本・・・

日本は、金額的にはいずれも4位。

しかしながら、ミャンマー人の意識調査の結果は、
大きく異なります。

「ミャンマーにとって、最大のパートナーである国は?」
との質問には、日本がダントツ・トップの49%。
2位・中国32%を大きく引き離しています。

「ミャンマーにとって、世界で最も信頼できる国は?」
との質問でも、日本が1位。
2位・アメリカの上をいっています。

まさに『日本大好き』な親日国!
それだけに、とても嬉しく、滞在していても居心地が良いのです。


■ 日本がトップランナーとして貢献する時が来た!!

警視総監から転身されて、大きな話題となった樋口 建史大使。

スー・チー女史が軟禁・拘束されていた当時から、
毎週のように頻繁に会い続けてこられた、
ミャンマーに最も精通する日本人外交官・丸山市郎公使。

自宅軟禁を解かれる前に、唯一事前連絡があったのは日本だけ・・・

今、そっと明かされる秘話も披露していただきました。

あのインパール作戦以来の歴史的な関係の長さ。
軍事政権後、各国が経済封鎖に踏み切るなかで、
経済取引を続けてきた日本。

そんな歴史的な背景も深い“親日国・ミャンマー”に、
今こそ政治・経済・インフラ整備・技術革新・教育等々、すべての分野にわたって、
日本がトップランナーとして貢献する時が来た!!

そんな熱意溢れるお話は、日本外交の誇りを感じるひと時でもありました。


■ 『日本企業の進出』に向けて、官民あげて本気!

55年ぶりの圧倒的支持で生まれた民主化政権が、
政治的安定を得られなかったら、大きなダメージとなってしまうでしょう。

万が一、政権が崩壊してしまったら、どんな国が入ってくるかは火を見るよりも明らか・・・
現地でミャンマー支援に尽力される方々からは、
日本が官民あげて、本気でミャンマー支援をする決意が伝わってきます。

既に2012年から始まっている経済特別区開発。

各国がしのぎを削るなかで、
まさに日本は“トップランナー”として走っています。

「特区を成功させて、日の丸の旗を立て、
優良な日本企業がやってくると、どういう経営になるか!
ミャンマー人に分かってもらいたい。
そのことが、ミャンマーのみならず、
ひいてはアジア全域での信頼醸成につながる!」

将来、日本からの進出企業を迎えるべく、
日夜、奮闘・尽力されている気概が、
ヒシヒシと伝わってくるのです。


■ されど「海外進出」は、“魔法の杖”にあらず・・・

これまで、特にアジアへの進出は、安い労働力を求めて、生産拠点として進出という観点が、メインでした。
この点、ミャンマーも、大変な親日国で治安もよく、安価で良質な労働市場が備わっていることは確かです。

いっぽうで、日本、中国、そして先進国の成長が鈍化するなかで、
中国以南のアジア諸国への進出は、マーケットを広げるという観点からの進出へとシフトしてきていることも、
厳然たる事実です。

例えば、ペットボトルやビニールに印刷する技術をもたないミャンマーでは、
日本の印刷業界にとっても、かなり魅力ある進出マーケットに映るでしょう。

空港、鉄道、金融、証券、税関、通関システムなど、
国を支える大事な基幹システムの整備も、まさにこれからです。

電気・都市ガス・水道などのインフラ整備、60%しかない携帯電話普及率も倍に、
バイクも自動車も、中古車のみならず新車も急増していくでしょう・・・

まさに残されたフロンティアともいえるミャンマーの魅力は、計り知れないものがあります。

これらミャンマーの成長を、各国がODAを活用して、
「税金をつかってでも!」
「国として支援していく!」
というのですから、財政的にも心配がなく、民間企業にとってみると“垂涎の的“かもしれません。

しかしながら、注意しておかなければならないこともあります。

それは
「海外進出」は、自国で生産できない商品、
自国で差別化できていない技術まで補ってくれる
“魔法の杖”では、決してない
ということです!

「アンゾフのマトリクス」に示したように、
あくまでも既存の商品・製品・技術をベースに、
「新しい市場」のために開拓していくのが=『海外進出

だという視点だけは、忘れないでいたいものです。


今年も一年間、お付き合いいただきまして、誠に有難うございました。

どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ。


           平成27年(2015年)12月
                     山  崎    泰


【参考】
「民間企業が活用可能なJICA事業メニュー一覧
 http://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/ku57pq00000ln4a3-att/priv_partner_JICA_business.pdf
  (PDFが開きます)

独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) ミャンマー
 https://www.jetro.go.jp/world/asia/mm/

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