TFSグループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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熊本地震を受けて・・・確認しておきたい「義援金」と「税金」

16.05.15 | 税務・会計

■ 熊本地震で被災された皆様方に、心よりお見舞い申し上げます

4月14日、震度7という大きな揺れをともなった熊本地震。
早いもので、あれから1ヶ月が経ちました。

その後も震度1以上の地震が1,000回を超え・・・
余震による不安もいかばかりかと思うと、本当に心が痛みます。

被災された皆様方に、心よりお見舞い申し上げます。

大きな天災が起こると、いったい何ができるだろうか・・・
自分自身との葛藤が続きます。

そんななか、義援金についても詳しくふれて欲しい・・・
とのお声をいただきました。


■ 知っておきたい「義援金」と「税金」


天災という出来事、予期せぬ社会不安を、
広く負担し合う方法のひとつが、義援金なのかもしれません。

そこで今月は、「義援金」「税金」に関するワンポイント・アドバイスを、
国税庁Q&Aを参考にまとめてみました。


【1】 熊本県下や大分県下などの災害対策本部に対して、義援金を支払った場合

 (a) 個人で支払った場合
 
 個人災害対策本部に対して支払った義援金は「特定寄附金」に該当し、
 寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置の適用を受けられます。

 「寄附金控除額」 = 「その年中に支出した特定寄附金の額の合計額」-2,000円
 
 (b) 法人で支払った場合

 法人災害対策本部に対して支払った義援金は「国等に対する寄附金」に該当し、
 その全額が損金の額になり、税制上の優遇措置の適用を受けられます


【2】 日本赤十字社「平成28年熊本地震災害義援金」口座に対して、義援金を支払った場合

 (a) 個人で支払った場合

 個人が、日本赤十字社の「平成28年熊本自身災害義援金」に対して支払った義援金は、
 「特定寄附金」に該当し、寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置の適用を受けられます。

 「寄附金控除額」 = 「その年中に支払った特定寄附金の額の合計額」-2,000円


 (b) 法人で支払った場合

 法人が、日本赤十字社の「平成28年熊本自身災害義援金」に対して支払った義援金は、
 「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額になり、税制上の優遇措置の適用を受けられます。


【3】 被災地域で救援・救護活動等を行う認定NPO法人に対して、義援金を支払った場合

 「認定NPO法人等」か「認定NPO法人ではないNPO法人」かによって、
 税務上の対応が違いますので、ご注意ください。

 「認定NPO法人等」であり、支払った義援金がその認定NPO法人の行う特定非営利活動にかかる事業に
 関連するもの
であるときには、その義援金は「認定NPO法人等に対する寄附金」に該当します。

 (a) 個人で支払った場合

 寄付金控除(所得控除)または寄附金特別控除(税額控除)の対象となり、
 いずれか有利な方を選択適用できます。
 所得から控除するか、税額から直接控除するかを選べるわけです。

 「認定NPO法人等の寄附金特別控除額」 =
 (「その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄付金の額の合計額」-2,000円)×40%」
 


 (b) 法人で支払った場合

 「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、
 その範囲内で損金の額に算入されます。 
 

【3】 認定NPO法人以外の法人等に対して、義援金を支払った場合

①公益社団法人・公益財団法人に支払った場合

 (a) 個人で支払った場合

 支払先が一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人である場合には、
 寄付金控除(所得控除)または寄附金特別控除(税額控除)との選択適用が可能です。

 「公益社団法人等の寄附金特別控除額」 =
 (「その年中に支出した公益社団法人等に対する寄付金の額の合計額」-2,000円)×40%」



 (b) 法人で支払った場合

 「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、
 その範囲内で損金の額に算入されます。 
 

②認定NPO法人以外のNPO法人、有志で組織した団体等人格のない社団に支払った場合

 (a) 個人で支払った場合

 寄付金控除等の対象となりません!


 (b) 法人で支払った場合
 
 一般の寄附金として、損金算入限度の範囲内で損金の額に算入できます。 


【4】 募金をする団体等が取りまとめて、一括して義援金を支払った場合
 
 個人や法人から、募金を取りまとめる団体が義援金を預かって、
 最終的に国、地方公共団体へ拠出されるのであれば、
 個人で支払った場合は「特定寄付金」、法人で支払った場合は「国等に対する寄付金」として、
 税制上の優遇措置の適用を受けられます。

 要は、国・自治体・日本赤十字社に直接支払った場合と同様に取り扱われるわけです。

 この場合には、「募集する義援金のみを取り扱う受付専用口座」を開設したり、
 専用口座がない場合には、最終的な拠出先が国・自治体であることを明記した
 「預り証」を用意したりするなどの配慮が必要となります。

 業界団体などが設けておられる義援金受付専用口座などは、
 まさにこの配慮に基づくものといえるでしょう。 


【5】 法人が、被災された取引先等に対して寄付した場合
 
 法人が、被災された取引先等に対して、
 被災前の取引関係の維持・回復を目的として支出する災害見舞金は、
 交際費等に該当せず、損金の額に算入されますので、ご安心ください。 


【6】 法人が、自社製品を被災者に対して提供した場合 

 この場合も、寄付金や交際費等には該当せず、
 広告宣伝費に該当するものとして損金の額に算入されますので、この点もご安心ください。 


【7】 『ふるさと納税』を活用した支援も

 以上のほか『ふるさと納税による寄付』を活用して、
 熊本地震の被災自治体を支援する方法もあります。

 新聞報道等によると、熊本県下の自治体に対する『ふるさと納税による寄付』は、
 10億円を超えたともいいます。
 この制度を使って自治体に寄付をすると、
 寄付額から2,000円を控除した額の所得税・住民税が控除されます。

 ふるさと納税ゆえ、熊本特産の馬刺し、メロンなどの返礼品が付いてくる自治体もあるとのことですが、
 現時点では申込者の半数以上が返礼品を辞退しているとか。。。 
 

風薫る5月・・・薫風が被災地の皆様の心を癒してくれること、
そして本号が、些かなりとも被災地支援のお役に立てますことを、心より願っております。

           平成28年(2016年) 5月
                     山  崎   泰


【参考】
国税庁 義援金に関する税務上の取扱いFAQ(PDFが開きます)
https://www.nta.go.jp/kumamoto/topics/saigai/pdf/joho03.pdf
 

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