細谷有子税理士事務所

会社か?個人か?

16.06.15 | 細谷NEWS

桜の季節があっという間に過ぎて、今は日々成長する新緑の生き生きした輝きを楽しんでいます。
人によっては、眩しすぎて嫌だという方もありますが、「生命力」というものを感じることのできる、
この季節が私はとても好きです。そして事務所のある茅場町界隈は、「紫陽花」の季節に変わろうと
しています。大分花芽も膨らんで、もうすぐ色づいてくることでしょう。



先日本屋で、辻・本郷税理士法人の≪「税金経営」の時代≫ という本を 見つけて読んでみました。
オーナー会社の経営を考えるときに、どのような税負担軽減の方法があるか。
といった視点で書かれた本です。
画期的な目新しい方法という提案は(正直)なかったのですが、
その中で 「役員報酬」についての考え方を述べている章があったので、ご紹介します。 

 弊所の顧問先の傾向を見てみると、最初大部分のオーナーが利益のほとんどを
役員報酬として設定し、会社としては税金をなるべく抑えて個人資産の充実を 図ろうとされます。
ところが、4~5年ほど経って ある程度経営が上手くいき対外的にも会社が
認知され銀行などと付き合いが始まると、多少税金を払っても会社に資産を
残し力を貯めて次のステップに進もうとされます。 会社が単なる名目的な器から、
自分の夢を広げていく武器に変わった時。 いつも、そのようなオーナーの視点の変化を感じます。
ですので、報酬を上げ続けてひたすら個人の資産を充実させるより、ある程度の
時期が来たら、方針を変えるのはいい傾向だと思っていました。

 ところがこの本では、高い個人の税金を払っても役員報酬を高くとって個人の
資産を充実させる事が必要。と言っています。

≪オーナーの報酬はできるなら高くすることを検討しましょう。オーナーの
報酬は、生活費としての意味だけでなく、将来にわたって会社経営を安定させる財源となるものです。≫

≪会社からオーナーが受け取ることができるのは、報酬、配当、退職金の3つのみ。
しかも配当は他の株主との関係、配当が経費で落とせないこと退職金については
退職時にしかもらえないことを考えると、経費で落とせて、かつ毎月もらえるものとしては
報酬しかないということです。ついでにいえば、退職金が退職時の月額報酬に連動して
計算するのが一般的ですので、報酬が低いと退職金も連動して低くなることになります。≫

≪万一、会社の業績が思わしくなく廃業、最悪倒産にいたるような場合、最後に物をいうのが個人資産です。≫

≪オーナーや後継者は安定的な経営権を維持していくためには高い株式シェア
が必要です。特に事業承継で子どもに株式をもたせるときにお金は必要になります≫

≪個人の報酬を低くすると会社の利益が増え、株価も上がります。それにより、将来の相続税負担が
大きくのしかかってきます。報酬が少ないと、その資金を用意できない事態にもなりかねません。≫

 確かに理論として一理あると思います。
ただ、オーナー会社とは言ってもこのような心配をしなければならないほどの会社は、
ある程度の規模を持った会社でありそこにかかわる多くの人達が居るわけ で、・・・
≪オーナー個人に資金を残すために会社の利益が高くなってきた場合の 一番簡単にできる
節税対策は、オーナーの役員報酬の増額です。オーナーの判断 ひとつで決められることなので、
オーナーが自分の報酬を上げることで会社にかかる 税金を減らすことができます≫
 ・・・という状況になるのでしょうか?

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