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「いい点とったらご褒美あげるよ」はいいのか悪いのか?・・・大橋です。

16.10.14 | 職員通信2

先日「オートファジー」の解明で大隅教授がノーベル賞を受賞しました。

「オートファジー」とは、細胞の中のタンパク質を、こう、なんかよくわかりませんが、ガンとかいい感じになってすごいみたいです。

オートファジーについては他の解説に任せるとして、 一連の報道で、私がはたと感じたのが、大隅教授がインタビューで仰っていた「日本の科学は空洞化するという危機感を強く持っている。」という言葉。

空洞化するそうです。日本の科学。

どういうことなのかなと思って調べました。

今、ノーベル賞学者は日本から次々と出ているので、日本の科学技術ってすごいんだなぁなんて思っていたのですが、それは間違いと指摘しています。
これらの受賞は上の世代の科学者の功績によるもので、1980年代、90年代の研究成果が評価されたものだそうです。
つまり研究をはじめて20年、30年経ってようやく評価されたということ。

研究に投資して結果が出るにはそのくらいの時間がかかる、ということなのですが、今はどうやら短期的な結果が求められるようです。

以下は大隅教授のインタビューからの引用です。

「若い人が少しロングタームでですね、2年間で何するというのではなく、まずは大きな問題設定ができて、
こんなことにチャレンジしたいということが5年10年ぐらい先まで若者が考えて。もちろん日々は具体的なことというのに左右されますけど。
こういう問題を解きたいんだと若い人たちが本当に思えて、そういうことをサポートするような社会の雰囲気というのがとっても大事なんだと思っています。
科学はいま役に立つことがとっても問われていますが、役に立つというのは非情なもので。
役に立つというのが、来年、薬になったということだと、13年後に薬になったというとらえ方されると、本当にベーシックなサイエンスは死んでしまうと思うので。
人間の長い歴史の中で、私たちがどんなことを理解していったらいいかっていうふうに思うかということをとても大事にする社会。
科学を人間の文化だと思って、社会が支えてくれるような、研究者も私たちはそういうのに支えられていると自覚するような時代に来ているのではないかと私自身は思っています。」

「2位じゃダメなんですか」というセリフがありましたが、 結果が出ても軽視されるのですから、結果が20年後に出る研究に、予算なんてなおさらつかないのでしょう。

2016年現在、国家予算は全体の33%が社会保障に使われています。
教育・研究には5%です。

今の政府は、100歳の老人に年間500万の予算を使い、就学期の子供には100万円・・・

この配分は正しいのでしょうか。


今回はそんな切り出しから、本題は教育についてのある本の紹介です。

『「学力」の経済学』中室牧子・著
教育も予算獲得競争で負けている分野です。

そんな教育の現場では、「経験則」がいまだに跋扈しているそうです。

教育を受けたことがない人はいないので、ズブズブの素人でも「私の経験だと・・・」と語れます。

井戸端会議で「うちはこうしてるわよ~」「あらマネしてみようかしら」なんて会話があるでしょうが、公式な教育会議でも「私の経験によると」と自論がまかり通っているそうなのです。

経済政策を語る会議で、文科大臣が「私の経験からすれば~」なんて発言している所は見た事がありません。

頼りにすべきはたった一人の経験則ではなく、多数の実験とデータによる統計で導いた因果関係です。

この本では、日銀や世界銀行に職を置いていた著者が、経済学的観点から徹底的に「エビデンス(科学的根拠)」を重視しています。


ひとつ本文にある例をご紹介します。

「子どもをご褒美で釣ってはいけないのか」という問題。

テストでいい点とったらおもちゃ買ってあげるよ~ってやつですね。

いい点とれるならいいじゃないか、と思う反面、おもちゃがなければ勉強しないんじゃないか、という不安もあります。

これについて、経済学は科学的根拠に基づく答えを持っています。

答えを先に言ってしまうと、ご褒美をあげた方が子どもの学力はよくなるそうです。

経済学には「教育の収益性」という「教育を受けた期間によって、その子どもの将来の収入がどれくらい高くなるか」という概念があるそうですが、それによれば、教育投資への収益率は、株や債券などの投資などと比べても高いことが、多くの研究で示されています。

いま勉強しておけば、将来いいことがある。
そりゃそうですよね。

ですが、人間には目先の利益が大きく見えてしまう性質があります。

来年の体重が10kg減ることより、いま目の前のケーキを食べたい。
10年後の年収を100万あげるために勉強するより、いまゲームをしたい。

ということは、裏を返せば「目の前にご褒美をぶら下げられると、いま勉強することの利益や満足が高まり、それを優先する」ということでもあります。

ご褒美で釣り作戦は、人間の性質を逆に利用し、子どもにいま勉強するように仕向け勉強することを先送りさせない、という戦略なのです。


このご褒美作戦について、ハーバード大学の教授が詳しい実験をしています。

「本を一冊読んだらご褒美をあげる」
「テストでいい点を取ったらご褒美をあげる」

この2つのうちどちらが子どもの学力を上げる効果があるでしょうか。

という実験で、要するに、インプットとアウトプット、どちらにご褒美をあげるかというものです。

なんとこの実験に使った費用は94億円、小2から中3までの約3万6千人もの子どもが参加した大規模なものだったそうです。

その結果どうだったかというと・・・

答えは、実際にこの本で!ということで。

ちなみに、電子書籍kindleをお持ちの方は、お試しで1章だけ無料で読むことができます。

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