税理士法人SKC

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上場企業の平成29年3月決算が最高益に!

17.05.29 | 堺俊治の独り言的情報

 日経新聞によると「上場企業の平成29年3月期の連結決算がほぼ出そろったところで集計すると、円高の影響で売上高は前期に比べ3%減少したが、純利益は18%増し、全体で2年ぶりの増益となり、過去最高益を更新した。」そうです。

 減収・最高益は連結決算が本格化した2000年代以降で初めてで、最高益企業は全体の3割近くに上ったようです。

 この最高益を最も押し上げた業種は非製造業で、40%も純利益を伸ばしています。総合建設業(ゼネコン)の大林組など大手4社はそろって最高益で、大成建設や清水建設は減収ながらも売上総利益率を高めて最高益を出しています。これまで低かった一桁の売上総利益率を二桁の10%を超える利益率を出しています。これは明らかに、東北震災、熊本・大分震災の復興需要と東京オリンピックの開発で大きな需要が起きたため強気の受注交渉が可能となったということでしょう。九州の建設業からも人さえ揃えば、今ならいくらでも仕事が取れるという声を聴きます。

 不動産業もオフィス賃料やマンションの販売価格を引き上げたことで、三井不動産など大手3社がそろって最高益を更新、不動産業全体の最高益企業は461社に上っているそうです。不動産業は北九州地区でも活況を呈しているように感じています。今後も老朽化したインフラの再整備や老朽化した商業ビル等の建替えなどで需要は堅調に続きそうです。

 スマートフォンからの通信料収入の増加で、通信各社も好調が続いています。ソフトバンクグループは純利益が3倍の1兆4263億円と、トヨタ自動車に次ぐ1兆円超えとなっています。なんと、モノづくりとソフト流通の硬軟の両巨頭が1兆円超えで並んでいます。

 利益の改善幅が大きいのは商社で、資源価格下落による差益によって資源事業の損失がなくなったのが大きく改善に寄与したようです。伊藤忠商事は食料部門(コンビニ・ミニスーパー事業)が伸び、連結純利益が47%増え、大手5社で損益は1兆2800億円も改善しています。

 製造業の純利益の伸びは5%にとどまっていますが、17業種のうち食品製造や化学など10業種の損益が改善しています。食品製造業は円高の影響で海外販売収入が減ったため減収となっていますが、好採算の商品へのシフトが好調でヤクルトやキッコーマンなどは最高益を計上しています。

 悪化した業種は、自動車関連や電機、海運で、大きく悪化したために、この3業種で全体の利益を約1兆円押し下げています。自動車は円高の影響でトヨタやマツダが減益となり、海運は運賃の下落で多額の損失を計上しています。

 それにしても、軒並み過去最高益が出ているという割には、景気が良くなったという感じがしないという方々が多いのではないでしょうか。この最高益は、中小企業や地方経済にどう波及してくるのでしょうか。波及してきた時こそ、日本全体の景気が押し上げられる時で、景気が良くなった実感を多くの皆さんが感じ始められるということになるのでしょうね。

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