TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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『政務調査費』公開に想う・・・

14.11.11 | 税務・会計

■ 『政務調査費(現在は、政務活動費)』とは?

 地方議員には、政務調査費(現在は政務活動費)なるものが・・・

 地方議員の月額報酬とは別に、地方議員の政策調査・研究活動の充実を図るために、月額数万円~数十万円が支給されるものです。文書・図書・資料購入費や視察旅費、研究会開催費等の使途に使うことができる決まりになっています。

 長年、「政務調査費」の名称で呼ばれていましたが、2012年地方自治法が改正され、2013年3月から「政務活動費」に名称変更されるとともに、住民との意見交換会にかかる費用などにも使えるように、使途が拡大されました。

 47都道府県議会議員の議員一人あたりの「政務活動費」は、平均すると月額で35万円というデータです。

 今から、もう20年も前の話ですが、都議会議員に初当選して、はじめて封筒に入った政務調査費をもらったとき、月額65万円という金額の大きさに驚いた記憶が、今でも鮮明に残っています。

 都財政が豊かだった時代とはいえ、今思えば、その重さがズッシリときます・・・

■ 10月29日、最高裁判所でこんな決定が・・・


 10月29日、最高裁第2小法廷で、こんな判断が・・・
 
 岡山県が条例で、1万円以下の政務調査費については
領収書の公開を義務付けていない
問題で、
すでに政務調査費の交付を受けた岡山県議らに、
1万円以下といえども領収書等の提出を命じる決定を
下したのです!

 47都道府県のうち、領収書提出に金額制限をかけているのは、岡山県のみとか。 

 岡山県でも、1万円以下の場合にも領収書の公開を
義務付ける条例改正案が、何度となく県議会に提案されたものの、
「事務作業の煩雑性」を理由に否決されてきたようです。

 現に第2審の広島高裁岡山支部では、領収書の公開で不利益が生じるとして、
裁判所としても公開を認めない決定をしていました。


■ 借金をしてでも納税される顧問先の皆さまを見ているだけに・・・

 領収書の公開で生じる「不利益」は、
政務調査費として使途が認められるか判断が微妙という「不利益」、
議員個人の公私混同的な支出明らかになりかねないという「不利益」で、
けっして公共の福祉を損ねる「不利益」ではないのでは・・・とも思うのです。

さらに、今、納税者の代理人たる仕事をしている立場からすると・・・

 税金を納める側の法人・個人が、1円単位まできちんと記帳して納税しているにもかかわらず・・・
 企業や個人事業主は、領収書等の原本を7年間保存するように義務付けられているにもかかわらず・・・
 税金から報酬をもらって仕事をする側の地方議員が、1万円以下の領収書は公開しなくて済むなどという
 道理は、どう見ても成り立たない! 

 ときに借金をしてでも納税される、顧問先の皆さまを見ているだけに、
どうしても語気が強くなってしまうのです。。。 

 この思いを今の地方議員に伝えるのも、議員と政治資金監査人とを経験してきた私の使命かと。

                  2014年(平成26年)11月 
                            山  崎   泰 

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