宮田総合法務事務所

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家族信託を組んだ不動産の売却はどうするの?

15.04.15 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

民事信託・家族信託を実行し、
高齢の親が所有する不動産を
受託者たる子供が管理することにより、
将来の認知症発症や病気・事故による
財産管理能力・意思能力の喪失に
備えることができます。


この場合、信託財産となった土地や建物の
不動産は、どのようにして売却することに
なるのでしょうか?

家族信託においては、典型的なケースとして、父親が所有する不動産を長男が信託契約により管理を任されることが多いです。
管理を任された財産のことを「信託財産」と言いますが、不動産をこの信託財産に入れた場合、 不動産登記簿に財産の管理を担う者として、長男の住所氏名が受託者としてきちんと記載されることになります。


この場合、登記の仕組みとして、「信託」という登記原因で所有権移転登記がなされ、受託者たる長男の名前が 形式的な所有者の形で登記簿に記載されます。
もちろん、財産管理を託しただけで、財産は父親のもの(受益者=父親)というケースがほとんどですので、 この場合財産権としては引き続き父親のものであり、長男に贈与税や不動産取得税の課税がされるようなことは一切ありません。


この信託不動産を売却する場合、売主が誰になるかといいますと、形式的な所有者となった受託者が売主になります。
つまり、登記済権利証(今で言うところの「登記識別情報通知」)は、受託者宛に交付されていますので、 受託者は売主として、関係書類に実印の押印と受託者個人の実印を押印して、買主への所有権移転登記手続きを することになります。

そこで必要な売主としての「本人確認」の対象も受託者になりますので、 冒頭に触れました、「父親の認知症発症や病気・事故による財産管理能力・意思能力の喪失」という事態になっても
全く影響を受けない不動産売却(もちろん管理も)が実現できます。


なお、この信託不動産に係る不動産業者については、通常の宅建業に基づく仲介で全く問題ありません。
「受益権の売買」ではなく、通常の所有権としての
不動産売買と全く変わりませんので、ご安心ください。

信託不動産を売却した後の売買代金は、当然に信託財産になりますので、受益者たる父親に給付しなければ
引き続き受託者の手元で管理することになります。
そして、信託の目的(父親の望む財産管理の方針)に沿っていれば、その信託財産たる現金をもって、 受託者が別の不動産を購入することも可能です。
その場合は、自動的に購入した不動産も信託財産になり、また受託者たる長男の名前が 購入した不動産の登記簿に記載されます。


ちなみに、所有権のまま不動産を売却しても、信託不動産に入れてから売却しても 税務的な評価や取扱いは一切変わりません。

つまり、不動産の譲渡所得税の課税や居住用財産の処分における3,000万円の控除など 各種軽減措置なども含め、通常の不動産売却と信託不動産の売却は、全く同じ処理をして頂ければ大丈夫です。

不動産を信託財産に入れると、各種税金が発生するだとか、売却しづらくなるだとか、そのようなことは一切ありませんので、安心して家族信託・民事信託をご検討頂きたいと思います。


具体的なご相談等がございましたら、有料相談の処理件数が数百件ございます、家族信託実務の経験豊富な弊所までご相談下さいませ。


★家族信託・民事信託に関する情報は、下記をご参照下さいませ。

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