FUJITA税理士法人

広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その1

16.02.12 | ビジネス【マーケティング】

皆さんは単独で仕事をすることが多いでしょうか? それとも、チームで働くことが多いですか? もしあなたが社長さんの場合、リーダーとしての役割で働いていますか? あるいは仕事をいただく人の元で、請負としての働き方が多いでしょうか? 

ビジネスや商売では、「ひとりきり」で働くことは多くありません。

アシスタントが1人いるだけでも、リーダー役であるあなたとアシスタントの「2人のチーム」です。

また、はっきりと「上司」というわけではなくても、ひとりでも後輩がいればそれは、あなたと後輩の「チーム」と考えることができます。

または、社外の方に発注するケースでも、その外注先のスタッフとあなたの「チーム」だと考えると、上手く動かすことができると思います。

そんな風に、いわゆる「上司」ではなくても、ビジネスや商売をしている限り、「チーム運営術」は大変に重要なスキルです。 

というわけで、僕がマーケティングの最先端にあたる広告会社の現場で、苦労してなんとか学び磨いていった「チーム運営術」を何回かにわたってお伝えしたいと思います。

チーム運営術を通じて、マーケティングのプロセスを学び取っていただければ幸いです。

「自分で頑張る」ことと「チーム運営」の間には、深い深い川が横たわっています。分かりやすいのは、野球やサッカーなどのチーム・スポーツでは「名選手、必ずしも名監督ならず」と言われることです。

「自分で頑張る」ことでは能力が発揮でき、成果が出せるのに、チーム運営では苦労が続き、成果が思うように出せなかったりします。 

僕は広告会社のクリエイティブ部門(テレビCMや新聞広告を考える部署です)に長くいたのですが、このことが如実に表れます。

コピーライターやデザイナー、CMプランナーたちは若いころはプレーヤーとして、いかに良いと言われるコピーやビジュアルアイディアやテレビCMを考え出すかを問われます。しかし、40歳前後には、クリエイティブ・ディレクターという、クリエイティブ・チームのとりまとめ役(リーダー)になっていきます。 

僕自身、40歳ごろにコピーライターからクリエイティブ・ディレクターになりました。そのときの戸惑いと言ったら、言葉では言い表せません。 

やることが、まったく違う。ひょっとしたら、真反対。それまでは良いコピーを「自分で考えつく」ことが仕事だったのに、クリエイティブ・ディレクターになった途端に、部下であるコピーライターやCMプランナーに「いいアイディアを考えさせる」ことが仕事になりました。

そして、広告主の担当者や宣伝部長に自分達のアイディアがいかに良いかをプレゼンし、その方達の要望と(ときに不満と)対峙することが仕事になったのです。 

というわけで、僕が広告会社の現場で苦労して、なんとか学び磨いて行った「チーム運営術」を何回かにわたって連載し、マーケティングのプロセスをお伝えしたいと思います。その第1は、「“自分でやった方が早い”は、封印せよ」です。 

あなたがリーダー役をやるケースでは、たいていの場合、相手はあなたより経験が浅い。あるいは、外注先のスタッフは、あなたの業務についての理解において、あなたより劣っていることが大半ではないのでしょうか。そこでついつい「自分でやった方が早い」と思いがちです。

そして、部下やスタッフへの不満を募らせます。でも、その状況であなたに必要なのは、その人にいい仕事を「させる」ことであり、「自分でやった方が早い」を封印することから始める必要があります。これはマーケティングに限らず、どんな職種でも共通です。

次回からも引き続き、この「チーム運営術」について考えていきます。 

次回は『広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その2』です。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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