『父より息子への30通の手紙』~“盆”にふりかえる、事業への想い~
16.08.09 | 経営全般
■ NHK「サラメシ」を見ていたら・・・
8月に入って間もなく、昼間にふとつけたテレビ・・・
NHK「サラメシ」。
「サラメシ」は、「サラリーマンの昼飯」の略称。
サラリーマンはじめ様々な職種の昼メシ、そして企業の社員食堂などを取り上げています。
『ランチをのぞけば、人生が見えてくる』というコンセプトで、ランチに秘められたこだわりやエピソードが盛りだくさん。
ナレーションを務める中井貴一さんが同じ年ということもあって、ついつい引き込まれてしまうのです。
印刷・製本の現場、そして昼メシ時の食堂、社長が手づくりの味噌汁、それも女性社長・・・
おやっ、良く見てみると、長年の知り合いの女性社長が、笑顔で味噌汁を作っている映像!
「先代からの想いを引き継いで、社長が社員さんを大事にすべく、毎日味噌汁をつくり続けているのです・・・」
中井貴一さんの、こんな心温まるメッセージ。
とても嬉しい光景でした。
(つづく)
■ 家族との想いを語る・・・そんな機会が増える“盆”
「サラメシ」で、毎日、味噌汁を作り続ける女性社長の姿から、
まさに先代が大切にしてきた社員さんへの想いを、
地場産業を守りつつ、次代に引き継いでいこう・・・との想いが、
ヒシヒシと伝わってきて、心が打たれました。
今の事業への想いを、先代からどう受け継ぎ、どう次世代に受け継いでいくか・・・
普段は忙しい経営者も、ふと立ち止まったとき、こんな想いが頭をよぎります。
8月は"盆"を迎え、身内が集まり、ふれ合う機会が増える季節。
私自身も、亡父から引き継いだ事業会社への想い、次代の息子や娘への想い、
"盆"の墓参りには様々な想いが、胸に去来します。
加えて、職業会計人としての仕事柄、
「"盆"休みに親族が集う機会に、事業承継、相続の話に一緒に同席して欲しい」と、
あえてこの時期に、ご相談を受けることも少なくありません。
■ 『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』
そこで今月は、大好きな一冊『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』
(キングスレイ・ウォード著・新潮社)から、いくつかのエピソードをご紹介しながら、
事業承継を考えてみたいと思います。
著書は、苦労して公認会計士になった後、化学事業も興して成功したカナダ人実業家。
ビジネスマンとして働き盛りだった時、
2度にわたる心臓手術を受け、死線をもさまよった経験をもつ著者。
生きているうちに、自らの生きざまを振り返って、
「これだけはどうしても伝えておきたい・・・」と、息子に30通の手紙を書くのです。
あの城山三郎氏が心血を注いで翻訳されたことでも知られる一冊です。
ごく一部分しかご紹介できないのが残念なのですが、
とくに心に残っている部分を、皆さまと"ともにしたい"と思います。
■ 『あえて挑戦を』
■ 『教育の設計』
■ 『成功について』
■ 『あとは君に任せる』
君は後継者になった。
■ 『ひとりの父親は、百人の教師に優る』
いかがでしょうか。。。
皆さま、それぞれのご経験のなかで、感じていただける部分も異なるかと思います。
本書は、父親が息子に語りかける形にはなっていますが、
様々な事業承継の場面に対して、示唆を与えてくれているように思うのです。
私自身、先代から引き継いだ事業会社とともに、会計人としての仕事もしていることもあり、
著者のひと言ひと言に、来し方行く末を重ね合わせ、ときに感傷的にすらなってしまいます。
最後に、本書の中で私がもっとも太い付箋を貼っているのは、こんなくだりです・・・
(「父親」を「親」に、「息子」を「子」に読み替えていただければと思います)
事業承継を通じて、
ともに100年企業を目指しながら、
ともに100年企業を支える気概を持ちながら、
どうぞ"盆"のひととき、ひも解いてご一読いただけたら嬉しいかぎりです。
平成28年(2016年)8月
山 崎 泰
- TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰
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