税理士法人SKC

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東京都のオリンピック予算と豊洲移転

16.10.25 | 堺俊治の独り言的情報

小池都知事が就任して以来、まるで、黙っていればこんな問題にならなくて済んだのに、といった状況が起きているように見えます。もちろんそう言っているように見えるのは、都職員とその利害関係者です。それに五輪組織委員会でしょうか。今回の場合は都知事という権力者ですが、このような力を持った権力者が大ナタを振るわない限り、既得権益関係者の構図は明らかに出来ないのかも知れません。

  フィリピンのドゥテルテ大統領も国民の絶大な人気を背景に、欧米から強い非難を浴びても大胆な治安改革に乗り出しています。既成勢力や既得権者には容赦のない対応のようです。そして米国のトランプ大統領候補も既成勢力や既得権益に真っ向から対峙しているように見えます。確かに人格的にはどうかと思えるトランプ大統領候補ですが、これくらいのパワーがないと、既得権益を守る一大勢力(産軍複合体)には対抗出来ないようにも思えます。この二人の大統領に共通していることは、どんなに非難を受けようが、信念(どんな信念であれ)を曲げない頑固さということでしょうか。

  東京オリンピックの予算の問題は、金額が予想以上に膨らんだこと自体が問題ではなく、利権が絡んでいるため膨らんだのではないか、そしてその利権をものにしているのは誰か、ということに核心がありそうです。本来、どれだけ金がかかっても、日本の企業が請け負って建築工事をする限り、その金は日本に落ちる金であり景気浮揚に役に立つのではないでしょうか。古くはかつて、米国でニューディール政策としてフーバーダムを建設したように、一部の既得権益者の利権として不当に収奪されない限り、莫大な公共事業として景気浮揚策の一環となりうると思うのです。

 豊洲移転の問題も、都職員のコンプライアンス意識の低さから起きているように思えますし、どう見ても何らかの利権が絡んでいるようにも見えます。一般の企業だと、品質表示の偽装という企業生命にかかる重大な問題です。しかし都職員からはいかに隠蔽を図るかという態度は見えても、重大なコンプライアンス違反を犯したという意識は少しも感じることが出来ません。だからこそ、そんな都職員や利権問題とは何の関係もない築地市場の事業者のことを考えたら、少しでも早く安全を確保して豊洲に移転させるべきではないでしょうか。この一連の問題は、移転を遅らせれば解決できる問題ではなく、都職員のコンプライアンスとガバナンスの問題、そして利権絡みの問題です。小池都知事には、他からなんと言われようと信念を曲げず核心に迫る大ナタを振るってもらいたいものです。

 ところで、私は既得権者のことを利権を食い漁っている悪者のごとく言っていますが、ふと自分を省みた時、どちらかといえば自分も既得権者の類にあることに気付いて、「革新のためには既得権を手放す覚悟が必要」などと簡単に言えないなぁと思ったことでした。

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