税理士法人AIO

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2016年診療報酬改定を振り返る(3)…在宅歯科診療

16.11.04 | 業種別【歯科医業】

今回の診療報酬改定で、医科・歯科ともに最も注目されているのが、「在宅医療専門の医療機関の新設」と、それによって生じる既存の訪問診療クリニックへの影響です。

まずは、「在宅歯科医療を専門に実施する在宅療養支援歯科診療所の施設基準」をみてみましょう。

歯科診療所であることと、現行の在宅療養支援歯科診療所の施設基準を満たすことに加え、以下の要件を満たしていることが必要です。 

(1)在宅歯科医療を提供した患者数を、在宅歯科医療及び外来歯科医療を提供した患者の合計数で除した値が0.95以上であること 
(2)過去1年間に、5ヵ所以上の保険医療機関から初診患者の診療情報提供を受けていること 
(3)当該診療所で行われる歯科訪問診療のうち、6割以上が「歯科訪問診療1」を算定していること 
(4)在宅歯科医療に係る3年以上の経験を有する歯科医師が勤務していること 
(5)歯科用ポータブルユニット、歯科用ポータブルバキューム及び歯科用ポータブルレントゲンを有していること 
(6)歯科訪問診療において、過去1年間に、抜髄または感染根管処置、抜歯手術、有床義歯装着、有床義歯修理及び有床義歯内面適合法をそれぞれ20件以上実施していること 
  
従来の「在宅療養支援歯科診療所」は、在宅患者率(患者数全体に占める在宅患者数)によって自動的に2種類に振り分けられます。

在宅患者率が95%以上の場合は、新設された「在宅医療を専門とする在宅療養支援歯科診療所」に、95%未満の場合は「(新基準の)在宅療養支援歯科診療所」となります。 

この新たな枠組みは、「外来から在宅へ」という医療の流れに応じて、より専門的な医療機関が連携しながら地域をサポートできるようにすることを目的として設けられています。 


<既存クリニックへの影響> 

在宅歯科診療の普及を目的としたこの改定は、一方で既存の訪問歯科クリニックにとっては厳しい改定となっています。 

特に施設への訪問診療をメインに実施していたクリニックにとってみれば、「外来を増やす」「施設ではなく在宅患者への訪問件数を増やす」というのは容易なことではありません。

だからといって施設基準を満たせなければ、売上が2割程度減少することとなります。 

「設備の変更」か「規模の変更」か。いずれにしても猶予措置期間が終了する平成29年3月31日までには方針を決めなければなりません。

既存の訪問歯科クリニックが大きな岐路に立たされていることは間違いないでしょう。


クリニック経営、次の一手 


[プロフィール] 
フォーユーメディカル株式会社 アットベネフィット事業部(大城正和・町山卓)
同事業部では、医療・介護従事者のための福利厚生サービス「@Benefit」として、歯科医院スタッフにも大企業社員並みの福利厚生をさらに医療・介護分野だけの特別プログラムをプラスして提供しています。 
@Benefit(アットベネフィット)
営業スタッフは、医療介護福祉事業に特化した採用・求人から教育・評価までをサポートする人材戦略コンサルタントとしても活躍中。


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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