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『一日中、家族と一緒に過ごさない』ことが当たり前の社会?!
20.06.12 | 人・ライフ
■ 「緊急事態宣言」が解除されて
緊急事態宣言が解除されて、当社でも6月1日、
久しぶりに、朝礼と全体MTGを再開しました。
といっても、新宿通りに面する広めの会議室で、
各人がかなり間隔を空けて座り
発言者の方向に正対しないようにとまで気を配りながら、
恐る恐るスタート。。。
でも、すぐに「東京アラート」が発令されてしまい・・・
会計チームとして、週2日の在宅業務
午前8時~午前11時の時差出勤
関与先とのオンラインMTGなどを推奨しながら、
コロナ禍でも、関与先にご不便をかけることなく
いかに従前と変わりなく業務提供することができるか、
「感染防止」と「事業活動」との両立に腐心しています。
■ 山極壽一・京都大学総長のインタビュー
6月1日、久しぶりに顔を合わせた全体MTGでは、
5月下旬「NHKニュースウォッチ9」で放映されていた
山極壽一・京都大学総長のインタビュー内容が、
深く心に残っていたので、その一端にふれました。
ご存知の通り、アフリカで40年間以上にわたり、
ゴリラを観察・研究してきた人類学の第一人者です。
ヒトに近いゴリラの生態を通じて、人間独特の社会、
そして、人間とは何かを研究され続けています。
■ 「人間らしさ」が揺らいでいる
山極総長曰く・・・
コロナ禍を生きるキーワードは「共感力」。
コロナがもたらしたのは、
人間がこれまでの進化の過程で獲得してきた「人間らしさ」の危機、
「人間らしさ」そのものが揺らいでいるというのです。
有史以前から、人間は集まり、移動したりしながら
いろんなモノやヒトに出逢うことによって、社会を作ってきた。
人間は様々な違いを前提にしながら、集まって、接触して、協働する。
そのことによって、「生きる喜び」や「生きる意味」を見つけ出している。
しかしコロナによって、「人間らしさ」を育んできた
「人間社会の在り方」が奪われてしまっている・・・
そんな指摘です。
■ 集まって、接触することを通じて、共鳴する集団に。。。
人間は集まって、接触することを通じて、共鳴する集団をつくり上げてきた。
これは、猿や類人猿ではできない!
だからこそ、音楽でも共鳴して、心をひとつにすることができる。
だからこそ、ほかの集団にも入っていくことができる。
見知らぬ人達とも手を組んで、共感して協働することができる。
接触が禁止されているなかで、共鳴・共感していける場を、どう復活させるのか
そのためのアイディアが必要な時代だとも問題提起されていました。
■ FB(フェイスブック)では、信頼関係にはつながらない。
いわゆる仮想空間、インターネット、ロボットなどに対しては、とても厳しい見方です。
「人間の共感力」を阻害する要因に過ぎない・・・
SNSやFBについても。。。
一刀両断!
かなり辛辣なコメントです。
FBに、自らの画像をあげて
こんなことをやっているとアップしてみても・・・
いろんな人とつながりたいという、
もともと持っている社会的欲求を満たすに過ぎない。
それは、単なる挨拶に過ぎない。
信頼関係をつくることには、つながらない。
■ では、どうすれば信頼関係が築けるのか?
では、どうすれば信頼関係を築くことができるのか?
信頼関係をつくるには、効率性を重んじない
ゆっくりとした時間の流れに身を任せながら
他者とじっくりと付き合うことが必要。
そういうことを経験しなければ、信頼関係は醸成されない。
もちろん、そんな関係を維持するために、SNSを利用することはありうる。
■ キーワードは『家族』
山極総長の話で、最も深く心に残ったのは『家族』というキーワードです。
緊急事態宣言の間、『家族と過ごしたステイホーム』の経験が、
コロナ後の世界を変える大きな力になるという指摘です。
我々は、『一日中、家族と一緒に過ごさない』ということを前提に、
今の暮らしを設計してきたというコメント!!
このひと言!
皆さまは、どうお感じになられるでしょうか?
■ 『一日中、家族と一緒に過ごさない』ことを前提に成り立っている社会?
家族とは『一日中なんて、一緒に過ごさない』ことが当たり前の社会。。。
コロナ禍だから、一生のうち、たまたま今だけ
『一日中、家族と一緒に過ごしている』にすぎない~
普段、同じ空気を吸っていない家族と、1ヶ月も2か月も
『一日中、一緒に過ごしている』と、息が詰まってしまう~
子どもは、早く学校に行かないかな~
保育園は、早く始まらないかな~
ダンナ(妻)とは、なるべく在宅業務の日が重ならないように~
コロナ禍、こんなホンネも聞こえてくるなか、
『一日中、家族と一緒に過ごさない』ことが当たり前の社会・・・
その是非など、子ども達、その次の世代も思い浮かべながら、
私たちの世代の認識や姿勢がどうあるべきか、深く考え込んでいます。
■ あるべき『家族のあり方』『人と社会との関係』
家族というのは、実は普段付き合っている仲間とは違い、
性別も、年齢も、身体的なつくりも違う。
コロナ禍で・・・違う性質を持った人間同士が、
いかに協力し、共感し合って生きるか、一日中、試されている。
でもゴリラは、それを当たり前のようにやっている!
『一日中、生きているかぎり、家族と一緒に過ごしている』ゴリラに、
人間が学ぶべきなのかもしれません。。。
ゴリラの生態を通じて、人類学を研究されてきた山極総長のインタビューは、
アフター・コロナの新しい時代に向けて、
あるべき『家族のあり方』
あるべき『人と社会の関係』
『人と人との違い』を自覚し、
『人と人との違い』を前提に「家族」も「社会」も成り立っていること
『人と人との違い』に寛容になることが、再び国境を開き、グローバル化していくために
苦しかったコロナ禍を通じて、我々が学んだこと、我々が学ぶべきことを
見つめ直す視点を与えてくれたように思うのです。
5月号では、『感染防止』と『経済回復』の両立
6月号では、コロナを通じた『家族』のあり方
単なる新しい生活様式に留まらず、新しい社会のあり方について、
皆さまとともに考えてみたいと思い、「キーワード」を提起してみました。
2020年6月12日
山 崎 泰
<山極壽一先生(京大総長)が語ります>
NHK BS1
2020年6月15日(月) 午後10:40~午後10:50(10分)放送予定
『新型コロナは人間社会をどう変え、我々はどう生きるべきなのか?
ゴリラの野外研究に従事し、人間特有の社会システムを考察してきた人類学者・
山極壽一(京大総長)が語る。
- TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰
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