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一般内科医の悩み-糖尿病の場合-

13.09.08 |

現在、国内の糖尿病人口は約1,000万人。
それに対して、
糖尿病専門医の数は現在4,555名。

大病院の糖尿病内科や
内分泌代謝科で勤務していたり、
その経験をもとに地域で
糖尿病内科の専門クリニックとして
独立開業するパターンがあります。

現在、全国で糖尿病専門外来のある病院・
クリニックがどのくらいあるのかというと、
病院検索口コミサイト「カルー」によれば、3,457ヶ所。

単純計算すれば1つの糖尿病外来で、
2,900人の専門医1人当たりが2,200人の患者さんを
診療しなければならないことになります。

もちろんこれはあり得ない数字。
実際の地域では、一般内科医が糖尿病診療の中心を担っています。

専門医ではないかかりつけ医(一般内科医)にとって、
糖尿病は患者に長く通院してもらえるという経営的メリットはあるものの、
合併症が多岐にわたる難しい疾患です。

年々新しい薬が数多く登場しており、そのつど知識を吸収しなければならず、
製薬会社が医師向け勉強会を盛んに行っているものの、忙しいので参加するのが結構面倒。

かといって古い薬ばかり出していると、糖尿病の新薬の情報はテレビのニュースでも
取り上げられるほど社会的な注目度が高いため、
「あの先生は新しいクスリが使えないらしい」
という噂が立ってしまうのです。

また、症状が進行した患者さんには、インスリン導入(インスリン製剤を処方し、
その自己注射を患者さんに指導する)を行いますが、インスリン製剤は種類も多く、
注射回数なども異なり、低血糖などの副作用もあるため、
一般内科医には扱いにくい薬です。

加えて、患者に自己注射を指導しなければならないので、
その時間と手間を考えてもインスリン導入のハードルは高く、
及び腰な一般内科医が多いようです。

それが専門医の冷ややかな批判の対象になっている事実は否めませんが、
前述のように専門医数が絶対的に不足している現在、
専門医だけでは糖尿病診療がまわらないのは事実。

一般内科医にも
「だから、やむなく目の前の患者に対応している」
という気持ちがあるのです。

[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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