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景品表示法の中の、『景品』に関する規制はどうなっている?

19.01.10 |

『景品表示法』は、その名の通り、事業者が顧客を誘引するために行う『景品』と『表示』という2種類の活動を、一般消費者の利益を保護するために規制する法律です。 
このうち広告に関する『表示』については、近年、『優良誤認表示』『有利誤認表示』などに対する措置命令という行政処分がメディアでも報道されるなど、一般の方が目にする機会も多くなっています。 
一方で、おまけや賞品などの『景品』の規制については、まだあまり知られていないのではないでしょうか。 
今回は、この『景品』に関する規制について掘り下げてみたいと思います。

『景品』の定義とは? 

景品表示法において規制の対象となる『景品』とは、どのようなものを指すのでしょうか。 
一般的には、景品というと、購入した商品に付いてくるおまけや、応募して当選する商品などを想像されるかと思います。 
景品表示法における景品も、その想像とそれほど違いはありません。
具体的には、以下の要件を満たすものとされています。 

(1)顧客を誘引するための手段である 
(2)取引に付随して提供するものである 
(3)物品、金銭その他の経済上の利益である 

なお、単なる値引きやアフターサービスは『経済上の利益』に該当しそうに思われますが、基本的に景品には該当しないとされています。 


景品には2種類ある 

景品は、さらに『懸賞』と『総付景品(そうづけけいひん)』の2種類に分けられ、それぞれ下記のように定められています。 

・懸賞 
『くじなどの偶然性』、『特定行為の優劣』などによって景品類を提供することをいいます。 
『くじなどの偶然性』の例としては、抽選券による抽選の当選者に景品を提供する方法などがあり、『特定行為の優劣』の例としては、クイズの回答を募集し、正解者に景品を提供する方法などがあります。 

・総付景品 
懸賞によることなく、商品を購入した、お店に来たなどの条件を満たした人全員に対して、もれなく景品を提供することをいいます。 
たとえば、アーティストや映画などのDVDやBlu-rayを発売するにあたり、初回生産限定盤にオリジナルステッカーをつけたり、マンションのモデルルーム見学者に、成約にならなくても粗品をプレゼントするといったようなことがこれにあたります。 
また、「ご来店先着◯名様に◯◯を無料配布」などのように、先着順で景品が提供される場合も、この総付景品に分類されます。 


景品に関する規制 

こういった景品に対する規制は、具体的にどのようなものでしょうか。 

・懸賞の場合 
懸賞による取引価額が5,000円未満の場合は、景品の最高額は取引価額の20倍までである必要があります。 
ここでの『取引価額』とは、ある商品の購入者に対して懸賞による景品を提供する場合においては、その商品の販売価格のことを指します。 
取引価額が5,000円以上の場合には、景品の最高額は10万円とされています。 
たとえば、一袋250円のパンに1枚付いているシールを5枚集めてハガキで応募すると抽選で賞品が当たるキャンペーンの場合、その賞品の最高額は2万5,000円([250円×5=1,250円]×20倍)となります。 
また、懸賞により提供する景品の総額は、懸賞に関わる売上予定総額の2%が上限とされています。 

・総付景品の場合 
取引価額が1,000円未満の場合には、提供する景品の最高額は200円、取引価額が1,000円以上の場合には、提供する景品の最高額は取引価額の10分の2まででなければならないとされています。 
たとえば、ラーメン店で850円のラーメンを注文した客全員に好みのトッピングをサービスする企画を行ったとき、そのトッピングの単価は200円を超えないものに限定する必要があります。 


一般的にはあまり目立たない存在の景品に関する規制ですが、実際のビジネスの場では、景品を提供する機会は多いもの。
知らないうちに景品表示法に違反してしまうことのないようにしましょう。
違反には措置命令が行われ、これに従わなければ、最長2年の懲役や最大300万円の罰金が科せられてしまうこともあります。 
この機会に概要を押さえ、整理しておきましょう。 

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