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あなたの土地は大丈夫? 地面師から土地を守る対策

19.02.04 |

2017年の夏、大手住宅メーカー積水ハウスが、土地所有者になりすまし、売買契約を成立させて購入代金を詐取する、いわゆる『地面師』のグループから55億円以上ものお金をだまし取られたというニュースが日本中を駆け巡りました。 
人口減少などに伴い空き家や空き地が増えている今、誰もがこのような危険にさらされています。 

今回は、自身の不動産を守るための対策をご紹介します。

土地をだまし取る手口とは

まず押さえておきたいのが、地面師グループによる詐欺の手口です。
典型的なパターンとしては、土地所有者の実印や印鑑証明書を偽造して土地の所有権を自分たちに移すという手口があります。
今回の積水ハウスの件でも、身分証明書にあたるパスポートなどが偽造されています。

土地を売買する過程でこれらの重要な情報が盗まれることもありますが、地面師グループの中に“司法書士役”がいるケースもあるので注意が必要です。
所有権移転登記手続きのために土地の権利証や印鑑証明書を司法書士に渡したつもりが、実はその相手は地面師グループの一員で、大事な書類を悪用されて土地だけを奪われるという被害もあります。
所有権移転登記を済ませたうえで全く事情を知らない第三者に売却してしまえば、第三者がその土地の所有権を主張できることになってしまいます。


被害に遭わないための予防策

地面師の被害に遭い、第三者に土地の所有権が移ってしまった場合、元の所有者が所有権を主張するのはかなりむずかしくなってしまいます。

まずは、被害に遭わないための予防策を講じる必要があります。
すぐにできる予防策として、2つの対処法をご紹介します。

(1)『不正登記防止申出』の制度を利用する
権利証や実印などが盗まれてしまったとき、法務局に対して『不正登記防止申出』を行っておけば、申出から3カ月以内に不正な登記があった場合、法務局が所有者に知らせてくれる制度です。
この3カ月という期間は延長することができないため、3カ月以上効力を継続させたいときは、改めて『不正登記防止申出』を行う必要があります。

2)『登記識別情報』の失効手続き
『不動産登記法』が改正され、権利証の代わりになるものとして『登記識別情報』という12桁の符号が定められることになりました。
権利証が手元になくても『登記識別情報』があれば、所有権移転登記を行うことが可能になります。
この『登記識別情報』を誰かに盗み見られたりしたときは、番号そのものを失効する手続きを取ることによって、悪用されるのを防ぐことができます。


だまされて土地を取られてしまわないために

実際に土地を売買するときの注意点も、合わせて押さえておきましょう。

(1)信頼できる司法書士を自分で指定する
不動産を売買するとき、買主側が司法書士まで手配することは珍しくありません。
しかし地面師が関わっている場合、グループの一員を“司法書士”として紹介されてしまうこともあります。
みすみす大切な書類を犯罪者に渡してしまわないよう、できれば司法書士は自分が信頼できる人を指定しましょう。

(2)登記に必要な情報を先に渡してしまわない
売買契約を持ちかけられ、言葉巧みに権利証や実印を渡すように誘導されることもあります。
しかしそうすると、相手が権利証や実印を預かって土地の代金は一切払わず、土地だけをだまし取ることが可能になってしまいます。
これを避けるために、そもそも必要以上のものを相手に渡さないことも大切ですが、登記に必要な情報を先に渡さないという対応も重要です。
たとえば、売買代金の支払いや抵当権の登記などといった手続きと所有権の移転登記に必要な情報を引き換えにするなどして、少なくとも一方的に不利な状況にならないようにしておくことです。


恐ろしい地面師の手口に引っかからないための予防・対策法についてご紹介しました。
被害に遭わないためには危機管理が必要です。
不安なことがあれば、早めに手を打っておきましょう。

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