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時効が過ぎれば回収できない! 『過払い金請求』での注意点とは?

20.02.25 |

テレビや新聞などで『過払い金請求』という言葉を聞くようになって、すでに10年以上が経過しています。
しかし、具体的にどういうものなのか、知らない人がほとんどではないでしょうか。
実は、過払い金請求は一筋縄ではいかず、多くの法的な論点を含んでいるのです。 
そこで今回は、過払い金の請求方法、そして注意点について説明します。

『過払い金』とは何か?

消費者金融やクレジット会社は、かつてグレーゾーン金利と呼ばれる、民法上の法定利息は超えているものの刑事罰は科されない高利で貸し付けを行っていました。

2006年に貸金業法が改正された際にグレーゾーン金利は撤廃され、それ以降になされた契約については、法定利息が適用されています。
しかし、それ以前の古い契約のまま取引を続けている場合には、いまだに高い利息を支払い続けているケースもあります。

債務者が、法定利息を超えて返済していた部分は、消費者金融やクレジット会社にとっては、法律上の原因に基づかない不当利得となり、これを『過払い金』と呼びます。
なお、過払い金を請求する場合には、利息も付加して請求するのが一般的です。


過払い金を請求する方法とは?

過払い金を請求するためには、まず、過去の取引履歴を、取引があった各業者から取り寄せる必要があります。
各業者が保管している取引履歴は、業者ごとに書式が異なっており、これを見ただけでは、実際に過払い金があるのか、あるとしたらいくらあるのかはわからないことがほとんどです。

そこで、『引き直し計算』といわれる作業が必要になります。
『引き直し計算』といっても、単に計算式に当てはめれば答えが出るようなものではなく、取引履歴のデータを基に、仮に契約当初から法定利息で取引をしていた場合の取引履歴を作り直すようなイメージで、かなり骨の折れる作業になります。
この『引き直し計算』をすることで、法定利息で取引をしていたら、いつから過払いになっていたのか、最終的に過払い金はいくらになるのかなどが明らかになります。
過払い金がいくらになっているかが判明したら、次は業者に対して、過払い金の支払いを求めます。
業者が全額を直ちに支払うと回答することはまずありませんので、業者との交渉が必要になりますが、任意の交渉では回収できる金額は低額に留まる傾向にあります。
そこで最終的には、訴訟を提起するケースもあります。


一筋縄ではいかない過払い金請求訴訟

過払い金請求訴訟は、簡単な訴訟のようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は多くの法的な論点を含んでいます。
そのため、争点が多く想定されるケースでは、訴訟をすると、かえって支払われる過払い金が減ってしまう場合もあります。
そのため、任意の交渉で和解をするのか、訴訟まで争うのかは慎重に判断することが必要です。

過払い金があったとして、業者と任意で和解をすべきなのか、訴訟を提起して争うべきなのか、自分自身ではなかなか判断がつきません。
また、過払い金請求には時効があり、それを過ぎてしまえば、せっかく過払い金が発生していても回収することはできなくなってしまいます。
そこで、法定利息を超える利息での取引に心当たりのある場合、早めに対策をするとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年2月現在の法令・情報等に基づいています。

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