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遺留分に相当する金員が支払えないときの対応策とは?

20.03.03 |

2019年7月1日、改正相続法が施行されました。
そのなかの一つに、遺留分侵害額請求に関する期限の許与の制度があります。
これは、相続人がほかの相続人に遺留分侵害額請求をされたとき、相当する金員を支払うことがむずかしいといった場合の対応策になります。
そこで今回は、この制度の詳しい内容について紹介します。

遺留分侵害額請求の期限の許与の制度とは?

たとえば被相続人が、自身の持っている不動産や不動産管理会社の株式を、事業を継いでくれる相続人一人に相続させたいと考えたとします。
そうすると、財産が一人に集中してしまうことになります。
それら以外の預貯金等の財産が潤沢にあって、ほかの相続人たちにも十分に財産が行きわたるのであれば問題ありませんが、そういう状況ばかりではありません。
これに対して、ほかの相続人が遺留分侵害額請求(遺留分は、相続人が法律上、最低限もらうことのできる遺産のこと。ちなみに、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分はありません)をすることがあります。
しかし、相続したものが不動産や株式などばかりで、それほど預貯金がない場合は、ほかの相続人たちに遺留分に相当する金員を支払うことはむずかしいでしょう。
そこで、相続の対象が直ちに換価できない不動産ばかりといった場合に、ほかの相続人に対して支払う遺留分に相当する金員の支払期限の先延ばしを求めることを『期限の許与の制度』といいます。
ただし、期限の許与を求めたとしても、支払い期限が必ずしも延長されるわけではありませんので注意が必要です。


期限の許与が認められた場合の効果

まず、期限の許与を求めるにはどうすればよいでしょうか。
民法1047条5項は、『裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。』と定めています。
つまり、期限の許与には、裁判所に対して訴訟を提起し、行使することが必要となります。

期限の許与が認められた場合、遺留分侵害額請求の弁済期(支払日)が先延ばしとなります。
『期限』という日程的な利益を得ることができ、本来であれば遅延に伴う損害金の支払い義務がなくなります。
一方、規定では『全部又は一部』(民法1047条5項)とあるため、一部にのみ期限の許与が認められることがあります。
たとえば、遺留分に相当する額として、遺留分侵害額請求権者に対して、1,000万円を支払わなければならない場合に、1,000万円のうち300万円についてだけ期限の許与が認められるという可能性もありえるのです。

今後、自身の不動産をどのように次世代に承継していくか悩んでいる人、不動産を承継することになりそうで遺留分侵害額請求を受けるかもしれないと不安な人は、『期限の許与の制度』の利用を検討してみてもいいかもしれません。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。

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