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『倒産』と『破産』の相違点とは?

20.06.09 |

2020年に入ってから起きた新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、観光業や飲食業をはじめとして事業の継続が難しくなり、いわゆる『倒産』状態になっている店舗や企業が多く目に付くようになりました。
はたして、『倒産』とはどのような状態を指すのでしょうか。 
今回は、『倒産』と『破産』の違いをあらためてご説明します。

倒産しても、破産したとは限らない

日常会話においては、『倒産』という言葉が、『破産』とあまり区別されずに使われている印象があります。
しかし、倒産と破産の意味は微妙に異なります。

『倒産』という言葉に法的な定義はありませんが、通常は、債務者(法人、個人)が自ら負っている債務を返済できなくなった経済状態になっていることを表します。
一方、『破産』とは、倒産という広い概念に含まれるものの一つで、法的には、破産法に基づく手続きのことをいいます。
したがって、破産手続きをとった会社等は倒産していることになりますが、倒産状態の会社等が必ずしも破産しているわけではないということになります。
とはいえ、倒産状態の会社は、放っておけばいずれは破産の手続きをとらなければならなくなる可能性が高いといえます。
そこで、日本における倒産処理手続きについてもご説明します。


倒産処理手続きの種類

日本の倒産処理手続きは、以下の二つに大きく分けられます。

●債務者の資産を処分して、これを債権者に平等に分配することを目的とする清算型の手続き
●債務者の事業を再建し、再建された事業から生じる収入・収益を債権者への弁済の原資とする再建型の手続き

前者の清算型手続きの中核が破産の手続きです。
法人であれば、解散して、法人格を喪失することになりますから、倒産手続きの最終手段といえます。
後者の再建型手続きには、会社更生手続きや民事再生手続きがあります。
これらの手続きによって再建に成功した企業があるのは、広く知られていることでしょう。

また、このほかに、裁判所の手続きによらず、債務者と債権者の任意の話し合いによって倒産処理を行う『私的整理』と呼ばれる方法も存在します。
法的手続きは倒産処理の最終手段ですから、実際には法的手続きには及ばない私的整理によって処理されているケースが非常に多いといわれています。

一口に倒産といっても、その定義が曖昧であるうえ、取りうる処理方法も多岐にわたるため、倒産した会社が実際にどのような状態であるのかはケースバイケースであるとしかいえません。
仮に自社の取引先が倒産したと聞いた場合には、慌てることなく、具体的な状況をしっかり把握することが肝要といえます。
はたしてその会社が破産のような清算手続きをとらざるを得ない状況なのか、債務の一部免除といった債権者の協力があれば再建も可能な状況なのか、それによって債権者がとるべき行動も変わってくるのです。

もちろん、突然、取引先が破産申し立てをしたことで、倒産状態であったことを知るということもあり得ます。
しかし、日頃から取引先の動向に注意をしていればその予兆を察知することは可能です。
まずは状況の把握に努めましょう。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。

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