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ローンを完済したら速やかに『抵当権抹消登記』の申請を!

21.01.05 |

住宅ローンなどでお金を借りたときに、銀行などから設定される『抵当権』。
万が一、返済が滞ったときのために土地や建物を担保にとるもので、その土地や建物には『抵当権設定登記』という登記がなされます。
この抵当権設定登記は、借金を完済し終われば、自動的に消えるものではありません。
これを消すためには、『抵当権抹消登記』を行う必要があります。
今回は、意外と知られていない抵当権抹消登記について解説します。

連帯保証人制度や質権制度と抵当権の違い
 
たとえば、家を借りたり銀行などから融資を受けたりするときに、連帯保証人をつけてくださいといわれることがあります。
これは、借りた本人がもし返済できなくなったときに、貸主が不利益を被らないようにするためのものです。
借りた本人の代わりに連帯保証人に「お金を返してください」と請求することができるよう、連帯保証人をつけるのです。

抵当権の役割もこの連帯保証人と同じで、借金が返せなくなったときに、抵当権が設定されている不動産をお金に換えることによって借金の返済の代わりとします
抵当権と同じく、借金の担保として使えるものに『質権』というものもあります。
質屋にブランド品など換金価値の高い品物を持っていき、質屋に預ける代わりにお金をもらい、お金を返済すれば預けた品が手元に戻ってくるというものです。
質権の場合は、質屋などお金を貸してくれる人にそのものを預けなければなりませんから、借金している間、預けているもの自体を自分が使うことができません。

しかし、抵当権であれば、借金をした人が担保となっているその不動産に住み続けたり、人に貸して収益を得たりしながらお金を借りることができます。
返済が不可能となった場合、抵当権が設定されている不動産は、一般的には競売にかけられ、競売で得られた代金が借金の返済に充てられることになります。

貸主側としては、抵当権を設定することで『優先的に返済を受けられる』というメリットを得ることができます。
仮に、借主がA、B、Cの3人から総額1億円の借金をしていたとします。
借主の持っている不動産の価値は5,000万円で、それ以上の財産を持っていないとしたら、借主に返済能力がなくなってしまった時点で、A、B、Cの3人のうちの誰かは借金を全額回収できなくなります。
しかし、抵当権を持っていれば貸主は不動産を競売にかけて得られたお金から優先的に弁済を受けることができるのです。

抵当権は、借金の担保として設定されるものです。
そのため、借金を返し終わったら、速やかに抵当権を外す手続きを取らなければなりません。
これが、抵当権抹消登記です。
もし借金を返し終わったのに抵当権がついたままになっていたら、どんな不都合が生じるのでしょうか?

借主にとっては、抵当権がついたままでは不動産を売却することがかなり難しくなります。
その理由は不動産の買い手にとって、購入した不動産を担保として没収されてしまうのではないかと見られるからです。
したがって、抵当権がついた不動産は、通常の価格よりかなり低い価格でしか売れなくなってしまいます。
借金を返済し終わったのであれば、売却時に誤解を招かないためにも早い段階で抵当権抹消登記をしなければなりません。
また、抵当権抹消書類が集まったのに放置し、紛失してしまうと、抵当権者に抹消書類の再発行をお願いすることになり、大変な手間がかかります。
そればかりか、抵当権者が死亡したり、破綻したりして書類を再発行できないなどの可能性もあります。
集まった書類を放置しておけばおくほど、リスクは高まることを肝に命じておきましょう。


抵当権抹消登記の手順と必要書類

以上のことから、住宅ローンを完済したけれど、抵当権抹消登記をした覚えがないという人は注意が必要です。
「ローンを完済したら、自動的に抵当権は消える」「銀行が勝手に手続きをしてくれる」と思っている人も多いのですが、そうではありません。
抵当権抹消登記をしなければ、登記簿に抵当権が残ったままになってしまうのです。
そこで、抵当権抹消登記の手続きについてご紹介します。

自分で抵当権抹消登記を申請する場合の手順としては、必要書類を準備し、法務局へ申請します。
抵当権抹消登記の手続きに必要な書類は以下の通りです。

●登記済証または登記識別情報
●登記原因証明情報(抵当権解除証書)
●抵当権者の委任状(代理権限証明情報)
●金融機関の登記事項証明書
●抵当権抹消登記申請書

ちなみに、一般的には、住宅ローンなどを完済すると、金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類一式が送られてきます。
ただし、抵当権抹消登記申請書は、金融機関からは送られてきません。
法務局のホームページからダウンロードするか、法務局で記入することになります。
費用としては、登録免許税として不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。
たとえば、一戸建て一棟と土地1筆であれば1,000円×2の2,000円の登録免許税を支払うことになります。

申請は本人でも行えますが、難しい場合は専門家に相談する方法もあります。
抵当権抹消登記があることを頭の片隅に置いておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。

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