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客単価を上げる! アップセルとクロスセルの取り入れ方

21.07.13 |

モノ余りの時代といわれて久しい昨今、新規顧客を獲得するだけでなく、既存顧客の単価を上げる手法に注目が集まっています。
顧客単価を上げる方法としては、顧客に現在使用している商品やサービスより、さらに上位のモデルを勧める手法の『アップセル』と、購入を検討している顧客にセットでの購入を勧める手法の『クロスセル』があります。
今回は、顧客単価の引き上げに有効な2つのセールス手法について、説明していきます。

顧客一人当たりの単価を上げるのに有効な施策

現代の経営者の多くは、“モノが売れない”という問題で頭を抱えています。
消費者のニーズの多様化や市場の飽和、経済の冷え込みによる所得の減少で、積極的にモノを買いたがらない消費者が増えたことなど、さまざまな理由で、“モノを買うこと”に対して、消費者の財布のヒモは固くなっています。
近年は新型コロナウイルスの影響で一段と経済状況が悪化したこともあり、さらに消費のトレンドは縮小傾向にあります。

そのようなモノが売れない時代のなかで、新規顧客の獲得よりも、既存顧客に注力する企業が増えています。
実は、新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかるという『1:5の法則』が定説になるほど、コストがかかります。
そこで、予算をかけて新規顧客を開拓するよりも、既存顧客の維持に力を入れつつ、客単価が上がるように働きかけていくことで、売上を伸ばすことに注力する企業が増えているのです。

そのための手法が、『アップセル』と『クロスセル』です。

アップセルは、既存顧客が現在使っている商品やサービス、購入を検討している商品やサービスよりも、グレードの高いものを購入してもらうという意味を持ちます。
たとえば、パソコンの買い換え時に、より高性能なモデルを勧めたり、クレジットカードをランクアップするように促したりする施策がアップセルです。

アップセルは、サブスクリプションとも相性がよく、大手通販サイトのAmazonでは、商品を1回きりの購入から定期購入の『定期おトク便』にするように勧めることで、既存顧客の維持と客単価の向上に取り組んでいます。
ユーザー側には、定期的に商品が届くほかに、1回の購入よりも商品の単価が安くなるという利点があります。

また、会計のクラウドアプリである弥生会計オンラインなどは、期間限定の無料お試しで新規顧客を獲得して、そこから有料プランの購入につなげる施策を打ち出しています。
有料プランは、会計取引を記入し決算書類を作成できるセルフプランから、経理業務の相談までカバーするトータルプランまでさまざまです。

このようなアップセルの手法に対して、既存顧客が購入を検討している商品に、別の商品をつけてセットで購入してもらうセールス手法がクロスセルです。

大手ファストフードチェーンのマクドナルドで「ご一緒にポテトもいかがですか?」と勧められた経験は誰にでもあるでしょう。
まさにあの声かけは、追加で別の商品の購入を勧める、アップセルの取り組みです。

また、前出のAmazonも、ユーザーが商品を購入する意思決定の段階で、『よく一緒に購入されている商品』として、商品に関連づいた商品を画面上に表示させ、追加での購入を促しています。
ユーザーにセットで購入してもらう施策は、アップセルと同じように客単価を上げる有効な手段でもあります。


アップセルとクロスセルを成功させるために

アップセルやクロスセルは、顧客が「欲しい」と思っていなかったモノやサービスを勧める行為なので、サービスや事業者に対する信頼度が高い顧客であれば、成功しやすいといわれています。
一方、顧客ロイヤリティの低い相手へのアップセルやクロスセルは、ともすれば“押し売り”に感じられてしまうこともあり、悪いイメージを持たれる可能性もあります。

また、アップセルもクロスセルも、提案するタイミングが重要です。

たとえば、アップセルを狙い、顧客に最初の検討段階で安いプランと高いプランを提示すると、多くの顧客は安いプランで注文を確定してしまいます。
すでに顧客が安いプランに決めて、いざ申し込むタイミングであれば、顧客が離脱する可能性が低いうえに、「せっかくなら」という心理が働き、アップセルは成功しやすくなるというわけです。

このように、アップセルとクロスセルを上手く活用していけば、新規顧客を取り込むための労力を払わずに、売上を伸ばすことが可能になります。
セールス手法の一つとして検討してみる価値は高いのではないでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年7月現在の法令・情報等に基づいています。

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