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給与アップで税優遇! 『賃上げ税制』の拡充で税控除率が引き上げ

22.03.08 |

企業の賃上げを促すための『賃上げ促進税制』が、令和4年度税制改正によって見直されることになりました。
現行制度では、従業員の給与などを増やすと、大企業で新規雇用者給与等支給額の最大20%、中小企業で雇用者給与等支給増加額の最大25%を法人税から控除されます。
改正後は、この控除率が大企業で雇用者給与等支給増加額の最大30%、中小企業では雇用者給与等支給増加額の最大40%にアップします。
制度が適用される期間や適用の要件など、経営者であれば知っておきたい賃上げ税制の中身を解説します。

改正によって大企業は最大30%の控除が可能に

賃上げ促進税制(所得拡大促進税制)は、従業員の賃金を上げることで消費を促し、企業の収益を上げることを目的に、2013年4月からスタートしました。
この税制では、賃上げに積極的な企業は法人税から一定の割合が控除されますが、その控除率が、2022年度の税制改正によって引き上げられることになりました。
大企業と中小企業で適用の要件が異なるので、それぞれ確認していきましょう。

法人税法の定義では、原則的に資本金が1億円を超える企業が大企業、1億円以下の企業が中小企業とみなされます。

大企業の場合、現行法では新入社員や中途社員など新たに雇用した従業員の給与等を前年度比で2%以上増やした場合に、新規雇用者給与等支給額の15%を法人税から控除することができました。
今回の改正では、まず対象となる従業員が、新規雇用した従業員ではなく、前年度から継続雇用している従業員に変更されます。

控除率は、3段階でアップしていきます。
大企業は継続雇用している従業員の給与等を前年度比で3%以上増やした場合に雇用者給与等支給増加額の15%、前年度比で4%以上増やすと雇用者給与等支給増加額の25%の控除を受けることができるようになります。
さらに、追加要件として、教育訓練費が前年度比で20%以上増加していれば、5%の控除が上乗せされます。
つまり、従業員の給与等を4%、教育訓練費を20%増やしていれば、最大で雇用者給与等支給増加額の30%の控除を受けることができるというわけです。


中小企業の適用要件と税制利用の注意点

では次に、中小企業の要件を見ていきましょう。

中小企業の賃上げの対象はこれまで通り全従業員で、給与等を1.5%以上増やした際に、雇用者給与等支給増加額の15%を法人税から控除できるという点に変更はありません。
中小企業の場合、現行法では全従業員の給与等を1.5%以上増やした場合に、雇用者給与等支給増加額の15%を法人税から控除することができました。
今回の改正により、給与等を2.5%以上増やした場合には15%が上乗せされ、合計で雇用者給与等支給増加額の30%の控除が受けられるようになります。
さらに、教育訓練費を前年度比で10%以上増やした場合には、さらに10%が上乗せされ、最大で雇用者給与等支給増加額の40%の控除を受けることが可能になります。

この賃上げ促進税制が適用されるのは、青色申告書を提出しているすべての大企業と中小企業で、適用期間は2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度になります。
ちなみに、個人事業主は、2023年から2024年までの各年が対象です。

また、賃上げの対象となる給与等支給額は、給料や賃金のほかにボーナスなども該当します。
ただし、退職金など給与所得にならないものは給与等支給額に含まれないので注意が必要です。

上乗せの対象となる教育訓練費は、外部に委託する際の研修費や外部講師への謝礼金、教科書やテキストなど、業務に必要な技術や知識を従業員に取得させるためにかかった費用のことを指します。
受講者の給与や視察費用、職務に必要ではない教育訓練などは対象外となります。

賃上げ促進税制は、賃上げに取り組む企業や個人事業主をバックアップし、改正による制度の強化によって、さらなる経済促進を図るという目的があります。
企業による賃上げの実行は、賃金が上がることで従業員のモチベーションのアップや生産性の向上などにつながるほか、会社への帰属意識を高めるともいわれています。
一方で、一度引き上げた給与は下げることが難しくなります。
税制改正を機に、メリットとデメリットをよく考えながら、従業員の賃上げを検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2022年3月現在の法令・情報等に基づいています。

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