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スタッフが長く活躍できる体制づくりとセカンドキャリア支援

22.10.04 |

立ち仕事が多い美容業界では、体力的な理由などから40代で退職をする人が少なくありません。
しかし、サロンの経営とクオリティを維持し続けるには、ベテラン従業員の雇用確保が非常に大切です。
豊富な技術と経験を持ち合わせた人材を手放さないためには、従業員のセカンドキャリアまで視野に入れた経営施策が求められます。
今回は、ヘアサロンにおけるさまざまなセカンドキャリアの可能性について解説します。

セカンドキャリアを見据えた体制づくり

かつてセカンドキャリアといえば、定年退職後の第二の人生における職業を指す言葉でした。
ところが時代が変わり、現在では『二番目の職業』として、キャリアアップやキャリア転換を意味する場合が増えています。

理美容業界では人手不足が続いています。
現在、ヘアサロンで働くことを辞めてしまった有資格者は、美容師だけでも数十万人に上ると推計されています。
収入や体力、ワークライフバランスなど、離職にはさまざまな要因が考えられます。
従業員の確保に悩んでいるオーナーも多いことでしょうが、人手不足解消策の一つとしてあげられるのが、スタッフのセカンドキャリアを見据えた体制づくりです。


幅広い分野で技術を活かせる美容師経験

ヘアサロンで積み重ねた技術や経験は、幅広い分野のセカンドキャリアへと活用できます。
たとえば、ネイリストやアイリスト、エステティシャンなどは、美容師のキャリアアップ・キャリア転換例として、よく見られるようになりました。

ネイルサロン等の新事業を展開するには、施術スペースの確保や設備導入といった準備のほかに、施術者の確保が欠かせません。
施術者として新人を採用するのではなく、信頼できる現存スタッフのキャリアアップ策として位置づけ、資格取得に必要な費用や時間確保のサポート制度を充実させることは、従業員満足度の向上と、ベテラン従業員の離職防止につながります

近年注目されている資格に、『福祉理美容師』『訪問福祉理美容師』などがあります。
サロンへの来店が難しいシニア層や障害のある方へのサービスで、将来的なニーズの高まりが期待されています
従来とは異なる顧客層に対する施術になる可能性もありますが、新たなビジネスチャンスとしても選択肢の一つに加えられそうです。


従業員とサロン、ともに成長する機会に

ベテラン従業員のセカンドキャリアとしては、経営にかかわる分野にも可能性があります。

身近な例としては、サロン経営やスタッフのマネジメント、マーケティングなどにかかわる業務です。
一定規模以上のサロンであれば、勤続年数が長くなると店長や経営幹部といった将来が考えられます。
そのなかで、人事管理や経費管理、プロモーションなどの知識と経験が求められるようになるでしょう。
人材採用やサロンのWeb制作、商品開発といった関連業務も同様です。

これらにかかわる教育制度の充実は、従業員のセカンドキャリアの促進だけでなく、サロンの規模拡大や成長を後押しする要素としても期待できます

ほかにも、カメラマン、イベント企画、SNS運営など、理美容師の経験との組み合わせで、従業員本人とヘアサロン双方の可能性を広げる選択肢は多数あります。
スタッフの描くキャリアデザインや適性を見極めつつ、検討していくことが大切です。


国の事業再構築補助金の活用も検討を

最後に、ウィズコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、中小企業等における新分野展開、業態転換、業種転換等などの思い切った「事業再構築」への挑戦を支援する補助金、『事業再構築補助金』について解説します。

この補助金は、定期的に公募期間が設けられていて、これらの取り組みで必要となる、設備投資費用や開業コンサルティング料、広告宣伝費などのうち3分の2が補助されるものです。

これまでヘアサロンとして採択された例では、メンズサロンの設置や他業種への参入などがあります。
売上実績などに一定の条件があり、採択率も約30~60%と甘くはありませんが、補助金の検討をきっかけにサロン経営を振り返ることで、新しいビジネスチャンスを発見する機会にもなります。
近隣の市場調査や競合の分析などに関心のある方は、公募要項など確認のうえ、こうした制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。

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