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歯科医療におけるトラブルを防ぐためのポイントと対応策

22.10.04 |

歯科医療を行ううえで、患者からのクレームは避けて通れない問題です。
どんなに適切な医療行為を施していたとしても、治療結果の良し悪しは患者側の感覚によるところが大きいため、治療に満足できなかった患者からクレームを受けてしまうことがあります。
なかには、言いがかりともいえるような苦情や、カルテの開示請求を受けることもあり、それぞれのケースで対応していく必要があります。
クレームを発生させないためのポイントと、クレームを受けた際の対応について、説明します。

説明責任を果たしていないとクレームが発生しやすい

インターネットの普及によって医療情報が誰でも取得しやすくなったことや、患者側の権利意識などの高まりなどを背景に、インフォームドコンセントの重要性が増しています。
インフォームドコンセントとは、『説明と同意』を意味する医療用語で、診療に際して患者が医師から十分な説明を受け、同意したうえで治療を受けることを意味します。

このような説明が適切に行われていないと、クレームが発生し、トラブルに発展してしまう可能性があります。
患者からのクレームは歯科医院の評判を下げることにもなるため、症状や治療内容、治療結果などを事前に説明し、患者の同意を得たうえで、治療を行うようにしましょう

また、どんなに適切な医療行為であったとしても、歯科医師側が患者への説明責任を果たしていなければ、患者側は不満に感じてしまいます。
たとえば、痛みの伴う治療であれば、前もって痛みが出ることを伝えておくことで、患者は『言われたとおりの痛みが出た』と納得するでしょう。

医療過誤や医療ミスはより大きなトラブルに発展する可能性があり、損害賠償請求を受けることもあります。
そのため、患者に前もってリスクやデメリットの説明を行い、納得を得たうえで治療を進める必要があります。
特に、自由診療は費用も高く患者側の期待値も高いため、適切な説明がなければトラブルに発展する危険性があります。


患者からカルテの開示を求められたら

患者からクレームを受けた場合は、まず不快な思いをさせてしまったことを謝罪します。
注意したいのは、クレーム内容についてのお詫びではない点です。
診療や治療に対するクレームだった場合、事実関係を確認しないまま謝罪してしまうと、医院側の非を認めたことになってしまいます。
患者に寄り添いながら、あくまで不快に思わせてしまったことを謝罪し、クレームに関する事実関係を確認していきます。
そして、患者の意見をヒアリングし、具体的な解決策を講じていきます。
『謝ってほしい』『再治療してほしい』などの要求があるはずなので、それぞれのケースで適切に対応していきましょう。

また、治療に不満がある患者から、カルテの開示を求められることもあります。
患者から診療記録などの開示を求められた場合、個人情報保護法に基づき医院は開示に応じる義務があります
ただし、その場ですぐにカルテをコピーして渡すのではなく、個人情報開示請求書に記入してもらい、正式な手続きで開示を行うようにしましょう
カルテの開示を求められたということは、患者が不満や疑問点を抱えているということです。
開示しながら、診療内容についてしっかりと説明することで、信頼を回復できる場合もあります。

カルテは、説明責任を果たしている証拠にもなるため、患者の所見から患者に説明したこと、治療内容まで、診療過程を詳細に残しておきましょう。
カルテが不十分だと、開示請求を受けたときに、歯科医師側の説明責任が果たされていないとみなされる可能性があります。

歯科医院を運営していくうえで、患者とのトラブルを完全に避けることはできません。
通常は、適切に対応していれば、大きな問題にはなりにくいものです。
しかし、なかには金銭を要求してきたり、嫌がらせをしてきたりといった悪質なクレーマーも存在します。
もし、悪質なクレーマーに遭遇した際は、医院内で解決しようとせずに、警察や弁護士などに相談することが大切です。


※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。

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