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「年齢」は時代とともに

15.04.05 |

唐突ですが、マンガ「サザエさん」に登場する「磯野フネ」と松田聖子の共通点をご存じですか?

1962年生まれの松田聖子は今年53歳。
一方、アニメの磯野フネさんの年齢設定は52歳。
そう、2人は「同世代」なのです。
もっとも長谷川町子の原作では48歳の設定だったそうで、松田聖子の方がまさかの年上ということに。
フネさん、今の時代としてはずいぶん老けている52歳だったんですね。

サザエさんの連載が始まったのは1946年。
70年前の日本の52歳と今の52歳とでは年齢のイメージも、見た目もまったく違う。
そのことはそれぞれの時代の人生観、ひいては医療や健康づくりへのモチベーションにも影響するのではないでしょうか。

最近、知人の親御さんが立て続けに2人、がん告知を受けました。
2人はともに80歳。
そして、2人とも迷わず積極的治療を受けるという選択をしました。

近年、心臓のバイパス手術などと同様、がん治療においても高齢化が進んでおり、大規模病院でも、80代の患者さんががん治療を受けに来るのはざらとのこと。
今や患者さんの間では80歳では大往生とか、天寿を全うするといった気持ちにはならず、まだまだ生きて人生を楽しみたいという意識に変わってきているように思えます。

来院する患者の急速な高齢化というこれまでにない事態に、昨年の癌治療学会では高齢者のがんをテーマにした緊急シンポジウムが開催されました。
化学療法のレジメンなども、80歳以上となるとまだ知見の集積が少なく、がん医学界の急務となっています。

80歳を超えたら積極的な治療はしない―――日本の医療者にも、患者さんにもかつてそんな不文律や共通認識があったように思います。
しかし、患者さんの認識が変わってきている今、日常診療においても「この患者さんはもうお年だからこのくらいでいいだろう」という医療者だけの価値観や「高度機関へと紹介してもいいが、でもきっと病院を変えたくないと言われるな」といった仮説のみで進めると、あとあと恨まれることになりそうです。

ちなみに、約30年ほど前に亡くなったかの石原裕次郎と美空ひばりの享年も、今の松田聖子より1歳若い52歳。
ボスとして苦虫を噛み潰していた当時の裕次郎さんは、40代だったんですね。
とすると、今のSMAPと同世代…。ま、この辺にしておきますか。

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[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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