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御社の給与システム、現代にマッチしている?「答えはNO!」

15.04.12 |

企業の業績は、人がつくり上げています。「お金のために仕事をしていない」なんて言っていても、給与が社員のモチベーションを上げたり下げたりしていることは事実です。これまでずっと続いてきた従来型の給与システムは、現代の企業経営にマッチしているのでしょうか?

日本の数多ある企業や公共団体の給与システムで、問題なしとするところはほとんどないでしょう。それくらい、難しい問題なのです。けれども、企業の業績アップをもたらす給与システムには、ぜひとも近づけたいものです。

企業は一番いいと思う給与システムをつくり上げているはずですが、日本の特徴はまず、その複雑さにあります。
賞与や退職給与も入ります。また、月給でも手当がいろいろあり、その制度は仕事要素もありますし、生活要素も加味されています。
ですから、自分の給与がいくらになるか、また天引きが多い昨今、手取りがいくらかなどは、もらってみなければわかりません。

1つの会社の給与システムを考えるとき、2つの力がかかることを注意する必要があります。外圧と内圧です。
外圧とは、いわゆる世間相場で、同業や同一地域の他社の給与です。法的最低賃金もこれに入ります。
内圧とは、従業員の間の公正感、つまり納得性です。それゆえに、経営者がどんなに理想的な給与システムだと思っても、外圧・内圧を考慮していないと安定しないでしょう。
給与は、経営陣から従業員への数字に表れた大切なメッセージでもあります。

大分前のことですが、ある新進の成長企業が、給与システムの新機軸を打ち出しました。それは、もっとも単純で公正であるように、全社員の月給を年齢×1万円と決めたことです。
つまり、25歳なら25万円、50歳なら50万円で、一切の手当なしです。完全な年齢スライドですが、男女・学歴・役職などに関係ない画期的な制度でした。
しかしその後、どうなったか聞きませんから、なし崩し的に世間並になったのではないでしょうか。


企業成長のための人的資源熟考


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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