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中堅社員の活用術~成長を促すひと言とは?

15.05.06 |

ゴールデンウィーク明けの企業では、5月病への目配せが気になるところだ。新しい環境に飛び込んだ新入社員の緊張感は、大型連休によって途切れたり萎えたりする。

気になるのは新入社員だけではない。30歳前後の中堅社員のモチベーションも、必ずしも高いレベルで安定しているとは限らない。

仕事にはすっかり慣れているから、上司の指示を待たずに自分から動くことはできる。だが、組織を円滑に機能させているからといって、その社員が自分の仕事ぶりに満足していると見なすのは早計だ。

サッカーJ1リーグの川崎フロンターレに、中村憲剛という選手がいる。1980年10月生まれの彼は、2010年のW杯南アフリカ大会にも出場したミッドフィールダーだ。フロンターレには大学卒業とともに入団し、チームのシンボル的存在としてプレーしてきた。

12年4月にフロンターレの監督となった風間八宏は、当時32歳の中村にこう話した。

「能力の50パーセントも出していないんじゃないか?」

サッカーではベテランと呼ばれる年齢に差し掛かり、キャプテンを任されていることもあり、中村は自分の技術の追求よりもチームの勝利を優先してきた。だが、風間は「キミが周りに合わせるのではなく、レベル的に抜け出たキミに周りが追随するような状況を作る」と語りかけた。「だから、年齢に関係なく自分を磨き続けろ」と。

それから3年が経ち、中村は「自分がうまくなっている」と実感できている。チームも地力を蓄え、リーグ優勝を射程とする。

仕事をそつなくこなしている中堅社員に、あなたは満足していないだろうか。新入社員だけでなく組織全体を見渡し、部下の才能を引き出したいものだ。


スポーツの視点からみる人的資源

[プロフィール]
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。
 
[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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