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家族的な雰囲気の作り方

14.08.31 |

企業活動やスポーツを問わず、
円滑に機能する組織は意見交換がスムーズだ。

「風通しが良い」と言われるチームやグループは、
個人の立場を越えた忌憚のない意見のやり取りがある。

アメリカのプロ野球メジャーリーグは、
多くのチームが試合後にスタジアムで食事をする。

スポーツの視点からみる人的資源

選手の体調管理が第一の目的だが、
食事会場には家族も入ることができる。
妻と子ども、彼女らを交えて、
選手たちはリラックスした時間を過ごす。

欧米のサッカーやフットサル
(5人制の室内サッカー)のチームでも、
家族を交えた食事会が開かれる。

なぜ、選手だけではないのか。

フットサル日本代表のスペイン人監督、ミゲル・ロドリゴに聞いた。

「たとえば、グラウンドではケンカをしてばかりで、
ほとんど話をしない二人の選手がいるとする。
でも、自分の奥さんや子どもが、大嫌いな選手の家族と一緒にいたら、
さすがに放っておくわけにはいかない。嫌々でも近づくだろう。
それだけではなく、話をするはずだ。
子供たちがじゃれ合えば、選手の表情も思わず緩む。
嫌いな選手に対する感情にも、変化が芽生えるものだ」

仕事と家庭を区別する傾向の強い日本で、
家族を呼んだ食事会のようなイベントは難しいかもしれない。
休日出勤の多い会社や部署では、
グループ内の全員がそろうタイミングさえないかもしれない。

最初のうちは、全員参加でなくてもいい。
会場は会社の小さな会議室でもいい。
家族を交えた交流の機会を開くのだ。

ロドリゴ監督が続ける。

「夫がどんなふうに仕事をしているのか、
チームメイトや監督とうまくやっているのかは、奥さんも知りたいものなんだ。
夫がもし人間関係でトラブルを抱えていたら、妻は何とかしたいと思うもの。
監督やコーチが『アイツと仲良くしろ、ケンカするな』と言うよりも、
同じことを妻が言ったほうがよほど効果的だし、
子供同士が友だちになれば、親(選手)も自然と仲良くなる。
そうやって関係が修復されると、選手のほうから
『また食事会をやろう』と言ってくるようになるんだ」

家族のように何でも言い合える雰囲気を作りたければ、
家族を交えた時間を持つ──ビジネスシーンにも応用可能なマネジメントである。


[プロフィール]
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。
 
[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)

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