- HOME
- ニュース六法
ニュース六法
-
- 22.05.14 | ニュース六法
- 知床観光船事故と刑事責任の壁
4月23日に発生した知床半島沖合での観光船事故は、まことに痛ましいものです。乗客、乗員計26人のうち、これまでに子ども1人を含む14人が見つかりましたが、全員の死亡が確認されています。またロシアが実効支配する国後島沿岸で乗客と思われる女性のご遺体が発見されたという情報も入ってきています。
報道によると、事故当日は、現場海域は波が高く風も強かったことから、他の業者らが観光船の船長に出航をやめるよう事前に忠告していたのにも関わらず出航したようです。船長と機関士はいまだ行方不明であるし、誰一人事故当時の状況を証言できる者がいません。船体が引き揚げられれば、そこから事故状況がある程度推測できるかもしれませんが、それも実際に可能なのかも先が見通せていません。そのような中、今後の刑事事件としての法的な処理がどうなっていくのか、気になるところです。予測も交えながら考えてみました。- 続きを読む
-
- 22.04.24 | ニュース六法
- 「タワマン裁判」国税側の勝訴確定!(最高裁)過度の節税にブレーキ
路線価に基づき算出した相続で、タワーマンションの評価額が市場価格より低すぎるとして国税当局が例外規定を適用し、追徴課税した処分の是非が、裁判所で争われていた訴訟で、最高裁第3小法廷は、4月19日に、国税の処分は「適法」という判断を示して確定しました。1審の東京地裁が令和元年8月27日に出てから、注目を浴び続けてきた訴訟も、国税側が3審とも勝訴で終わりました。
通常、国税庁では不動産の相続税での算定基準を「路線価」としていますが、実際の時価が路線価の約4倍の事案で、その時価を前提に課税した国税当局の処分が適法とされたものです。路線価は、通常は取引価格の8割程度のために、節税策として不動産を購入する人も多いのですが、そうした相続対策に大きな影響が出そうです。不動産を用いた過度な節税に警鐘を鳴らしたものと言えます。今後は、節税策として不動産を購入する場合、相続税の基準となる路線価と取引価格に大きな差があれば注意が必要です。- 続きを読む
-
- 22.03.06 | ニュース六法
- ロシア政府の蛮行に抗議します
ロシア連邦は、2月24日、プーチン大統領の声明で、「ウクライナ政府によって8年間、虐げられてきた人々を保護するため」として軍事作戦を開始すると発表し、隣国ウクライナに対して軍事侵攻を開始しました。2月26日に日本政府はロシア軍の侵攻を「侵略」と認定しています。国連総会の緊急特別会合も開かれ、3月3日には、ロシアを非難し完全かつ無条件でのロシア軍の即時撤退などを求める決議案が賛成多数で採択されました。
「独裁者はいつも『生存圏』や『自国民保護』という美名の下で戦争を始める。どんな言葉も戦争を正当化できない。」これは、ロシア国内のSNSで発信されたというロシア国民の言葉です。ロシアの指導者に対して、世界中で抗議の輪を広げていきましょう。
大阪弁護士会も2月28日に、ロシア連邦のウクライナに対する軍事侵攻に反対する会長談話を発表しました。https://www.osakaben.or.jp/speak/db/pdf/2022/oba_spk-275.pdf
私も賛同しましたので、ここにその内容の要旨をご紹介します。- 続きを読む
-
- 22.01.30 | ニュース六法
- この4月からは18歳で成年
成年年齢を18歳に引き下げる民法改正が、2022年4月1日から施行されます。明治時代から今日まで約140年間、成年年齢は20歳と定められていましたが、これまで未成年であった18歳から19歳までの方は、この4月1日に一斉に成年になります。成年になった時点で、どのような扱いになるのでしょうか。変わる点と変わらない点があります。
- 続きを読む
-
- 21.09.30 | ニュース六法
- ニューヨーク州弁護士とロースクール
秋篠宮ご夫妻の長女眞子さんと結婚した小室圭さんが、ニューヨーク州の司法試験を受験していましたが、不合格だったことが判明したようです。結婚まであれこれ誹謗中傷の中で奮闘していた二人ですが、無事に合格していたらいい門出になると思い、心で応援していたのですが残念なことでした。同州の試験は来年2月にも実施される予定で、出願期間は11月中ということですから、ぜひ再挑戦して合格を果たしてほしいものです。
ニューヨーク州弁護士とはどういうものか、詳しいというほどではないのですが、分かっている範囲で少しだけご紹介したいと思います。- 続きを読む
-
- 21.09.04 | ニュース六法
- 木村花さんと「侮辱罪」改正
現代社会において、そのとき話題となっている人物に対してSNSなどで厳しく誹謗中傷する行為が横行していて社会的問題となっています。そのような中、昨年5月に、人気テレビ番組に出演していたプロレスラーの木村花さん(当時22歳)が、SNSで多数の誹謗中傷を受けた後に自殺をしました。この件では、投稿者2名の男のみが、「侮辱罪」で書類送検され、結果として、二人ともわずか9,000円の科料の略式命令になっただけでした。侮辱罪の法定刑は30日未満の拘留または1万円未満の科料で、軽犯罪法違反と同じであるため、「時代に合っていない。匿名の中傷は罰則強化が必要だ」との声が上がりました。
こうした問題提起もあって、法務省内でプロジェクトチームが作られて議論が重ねられ、侮辱罪の軽い法定刑を見直し、懲役刑を導入する方針を固め、本年9月中旬に開かれる法制審議会に諮問することになりました。- 続きを読む
-
- 21.07.31 | ニュース六法
- 顧客の転倒と店舗の賠償責任
7月28日、東京地裁で、レタスの水で客が転倒した事件で、スーパーに賠償を命じた判決が報道されました。時事通信の記事によると、スーパーの店内で転倒し、左肘を骨折した東京都の男性が、床が水浸しで放置されていたのが原因だとして損害賠償を求めた裁判で、野菜売り場でサニーレタスの水が床に垂れたため転倒の危険が生じたとして、約2180万円の支払いを命じたということです。裁判長は、サニーレタスに付いた水が垂れて床がぬれていたのに、清掃などの対応をした形跡がうかがえないと指摘し、「安全管理義務に違反した」と判断したと報道されています。
このように、店舗において顧客が転倒する事故が発生した場合、どこまでが顧客の自己責任で、どこからが店舗の責任となるでしょうか。- 続きを読む
-
- 21.06.01 | ニュース六法
- アミメニシキヘビ騒動と動物管理
横浜市のアパートから体長約3・5メートル、体重約13キロのアミメニシキヘビが逃げ出し大騒ぎになっていましたが、ようやくそのアパートの屋根
裏で発見され、無事に捕獲されました。このニュースを受け、「私が逃亡しているのではないかと言われて、最初は何のことか分からなかった」と苦笑いしていた大相撲の元”安美錦”の安治川親方はホッとしていたという笑い話まで出て、終息を迎えました。しかし、このような大型のアミメニシキヘビに襲われて死亡する事故もあるということで、心配なことでした。このような動物管理上の法的問題を整理してみました。- 続きを読む
-
- 21.04.29 | ニュース六法
- 紀州のドン・ファン不審死と相続問題
3年前、和歌山県田辺市で、“紀州のドン・ファン”とも呼ばれた会社社長が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、4月28日朝、男性の25歳の元妻が逮捕されました。報道によれば、元妻は田辺市の自宅で当時夫だった会社社長を急性覚醒剤中毒にさせて殺害したとして殺人の疑いが持たれています。報道は警察署の発表だけを流している状態で、無罪の推定が及ぶ被疑者の扱いとしては気になるところです。その意味で論評は慎重にすべきかと思います。ただ、今回のこの問題、元妻と兄弟姉妹の相続割合、遺言書の有効無効問題、包括遺贈と限定承認、遺留分請求問題、相続権消失など、およそ相続に関する法律問題のオンパレードです。少し解説してみます。(以下はすべて報道等で知りえた事実関係をもとにしていますので、必ずしも事実と合致していない場合もあるかもしれませんので、それを前提にお読みください。)
- 続きを読む
-
- 21.03.28 | ニュース六法
- 同性婚と民法・戸籍法問題
同性同士の法律婚を認めていないのは「婚姻の自由」などを保障した憲法に反するとして、北海道内のカップル3組6人が、国に慰謝料の支払いを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は3月17日に、現行制度は法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると述べた上で請求は棄却しました。大阪地裁を含めて全国5地裁で争われている同種の訴訟で初めての司法判断です。
同性同士の婚姻届出を認めていない民法や戸籍が憲法違反というある意味で衝撃的な内容となったこの判決は、どういう理由で違憲としたのでしょうか。また、この判決の今後の影響などを考えてみました。- 続きを読む
- 大阪プライム法律事務所
- カテゴリ