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企業の法制度
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- 15.06.20 | 企業の法制度
- トヨタの外国人常務逮捕の衝撃
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警視庁の組織犯罪対策課が、6月18日に、米国から麻薬の錠剤を輸入したとして、麻薬取締法違反(輸入)の容疑で、トヨタ自動車常務役員で米国人女性のジュリー・ハンプ氏を逮捕したとの報道は衝撃的でした。これを受けて豊田章男社長が記者会見をし、「世間をお騒がせすることになり、誠に申し訳なく思っております」と陳謝し、「捜査には全面的に協力する。今後の捜査を通じて、ハンプ氏に法を犯す意図がなかったことが明らかにされると信じている」などとコメントしました。(写真はイメージで本件とは無関係)
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ハンプ氏は「麻薬を輸入したとは思っていない」と容疑を否認しているそうですし、現時点では大半の報道が警視庁発表情報に頼っていて、情報操作の可能性があり、うかつに評論はできません。しかし、文化や法制度、法感覚の違う外国人を役員として採用する際の一つのリスクとして考えていかねばならないという意味では、大きな課題を浮き彫りにした感じがあります。 - 続きを読む
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- 15.05.17 | 企業の法制度
- マイナンバー対応は遅れ気味
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毎日新聞の本年5月9日記事によれば、来年1月にスタートするマイナンバー制度に関し、情報セキュリティー会社が企業や官公庁の担当者計1212人にアンケート調査を実施したところ、マイナンバーに対応させる作業を完了していないとの回答が9割を超えたとしています。「まだ何も行っていない」としたのは企業の31%を占めたそうです。
このような状況ですが、今年の10月には国内に住民票がある全ての人にマイナンバーが通知されてきます。内閣官房社会保障改革担当室は、マイナンバーに対応した人事・給与システムの導入、安全管理の検討などを、来年1月からの制度開始までに行うよう民間事業者に求めています。営利非営利を問わずにすべての事業者に関係していますが、企業・団体の担当者のみなさま方、大丈夫でしょうか。
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- 15.04.13 | 企業の法制度
- コーポレートガバナンス・コードの基礎知識
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本年3月5日、金融庁と東京証券取引所を共同事務局とする有識者会議が「コーポレートガバナンス・コード原案」をまとめて公表しました。今後、株主総会が集中する月となる本年6月1日までに確定された上で、この指針を上場規則に反映させる方針のようです。
法的な強制力はありませんが、「Comply or Explain」(同意せよ、さもなくば説明せよ)の原則に基づいて、上場企業はこのコードに同意するか、もしくは同意しない場合はその理由を説明するよう求められるようになります。ソフト・ロー(法的拘束力のない規範)なので、どこまで効力を発揮するかは未知数ですが、日本企業の経営体制を大きく変える予感もあります。全体の構成やいくつかの耳慣れない用語などについて知っておくのがよいと思い、ご紹介します。
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- 15.03.20 | 企業の法制度
- 大塚家具の委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)
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大塚家具が大騒ぎです。創業者の大塚勝久会長が、娘の大塚久美子社長を追い出しにかかっています。3月27日に開催される株主総会で、自分を含む新たな取締役の選任を求める株主提案をしていますが、その中に久美子社長は含まれていません。つまり、実質的には久美子社長の取締役解任動議と言えます。
対する久美子社長側は、2月13日開催の取締役会で、会社として勝久会長側の株主提案に反対する決議を可決しました。逆に株主総会での会社提案では、勝久会長を含まない取締役選任案を提出することを決定しました。
ワイドショーでは、これをお家騒動として大きく報道して、大きな関心を引いています。そのような中、株主総会に向けた委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)が激烈に展開されています。双方が大株主に向けて経営方針を説明して支持を要請するととともに、一般投資家を狙った情報合戦が繰り広げられています。委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)とはどのようなものでしょうか。
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- 15.02.15 | 企業の法制度
- アマゾンジャパンの家宅捜索(児童ポルノ)
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ネット通販大手のアマゾンジャパンが、運営するインターネット通販サイトで児童ポルノ商品を掲示していたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(販売ほう助)の疑いで、家宅捜索を受けたということです。捜索したのは愛知県警で、時期は1月23日、場所は東京本社および千葉県市川市にある関連子会社の配送センターといいます。アマゾンジャパンが、自社の通販サイト上で児童ポルノ関連商品が出品されていることを知りながら削除せずに黙認していたことが、これら商品の販売ほう助になると考えられたからのようです。
こういったネット通販事業をなそうとする場合や、そこへ商品を出品しようとする場合、こういった違法物について十分な注意が必要です。今回のケースは、児童買春・ポルノ禁止法(児童ポルノ禁止法)が昨年に改正され、単純な所持であっても、1年間の猶予期間をおいた今年の7月からは、違法として刑罰の対象となることがその背景にあると思われます。特に児童ポルノの定義が不明確との批判もあることから、問題を複雑化しています。
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- 15.01.17 | 企業の法制度
- 予審判事とは?(アギーレ監督問題)
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昨年、サッカー日本代表のアギーレ監督が、2011年まで指揮していたスペイン・アラゴン州に本拠地を置くサッカーチーム「サラゴサ」での監督時代に、同じスペインのチーム「レバンテ」との試合で生じた八百長疑惑で、スペインの検察当局から告発され、騒ぎになっています。
スペインメディアからの報道では、バレンシアの裁判所のイサベル・ロドリゲス氏が予審判事になり、本年1月14日に訴追を受理し、2月から事情聴取が始まるとの報道がなされています。大変な事態で、今後どうなるのか心配です。今回のイサベル氏という予審判事は女性のベテランということですが、この「予審判事」という言葉は、日本ではなじみがありません。どのような役割をするのでしょうか。
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- 14.12.16 | 企業の法制度
- シャルレ代表訴訟(MBO頓挫での株主損害賠償)
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元バレーボール全日本代表選手であった三屋裕子氏が一時期社長を務めるも、創業家側との対立から2006年に解任されるなどで注目を集めたことのある婦人下着販売大手の株式会社シャルレで、その後、創業家によるMBO(経営者が参加する買収)が計画されましたが、頓挫しました。そのことを巡って、無駄な費用を生じさせ会社に損害を与えたなどとして、株主の男性が元取締役5人に総額5億円の賠償を求めた株主代表訴訟が進んでいましたが、その判決が本年10月16日に神戸地裁で出ました。
伊良原恵吾裁判長は、創業家の元社長ら2人に約1億9700万円の支払いを命じましたが、当時の社外取締役についても賠償は命じなかったものの、法律上の義務違反を認める判断を示しました。この判決は、取締役責任の問題に関して、興味深い内容となっています。
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- 14.11.15 | 企業の法制度
- ネット検索結果の削除「忘れられる権利」
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本年10月9日、東京地裁は、「グーグル」の検索結果を示したページの見出しや要旨(スニペット)の記述にプライバシー侵害があるとして、男性がグーグル側に削除を求めた仮処分申し立てに対して、申し立てした237件の約半数の122件について削除を命じました。
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この決定では、「検索結果のタイトルやスニペット自体が男性の人格権を侵害していることは明らか」と指摘して、検索サイトを管理するグーグル側に削除義務が発生するのは当然であるとしました。
グーグル社は、この決定を受けて、10月22日に、裁判所の決定を尊重するとして、削除対象になった122件の表示を完全に削除する方針を明らかにしました。ネットを巡っては、プライバシー侵害や名誉毀損の問題などが多く発生していますが、この決定は、それに悩む者にとっては朗報であると思います。今後、どのような影響が出るでしょうか。 - 続きを読む
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- 14.10.18 | 企業の法制度
- 私戦予備・陰謀罪とは?
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「イスラム国」という言葉がよく耳に入ってきています。スンニ派のイスラム教原理主義組織で、主にイラクとシリアで活動していて、占領済み地域について一方的に独立を宣言し、今年の6月から「イスラム国」と称していますが、国際的には認められていません。国際テロ組織・アルカイダから派生した一セクトのようですが、そのアルカイダでさえも距離を置くほど残虐性が際立っていて、「イスラム教過激派組織」とも言われています。
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この「イスラム国」に、北海道大学の男子学生らが戦闘員として加わろうとしたとして、警視庁公安部が関係者を「私戦予備・陰謀罪」の疑いで事情聴取し、捜索したという報道が飛び込んできました。この「私戦予備・陰謀罪」は、確かに刑法には書かれていますが、これまでは使われたこともない罪で、司法試験でも馴染のないものであって、私も正直、この罪名の出現には驚きました。少し覗いてみます。 - 続きを読む
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- 14.09.15 | 企業の法制度
- 司法試験予備試験とは
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2014年度実施の司法試験の合格発表が、先日ありました。法務省によると、今回の合格者は、男性1402人、女性408人の1810人で、去年より239人少なくなりました。政府は「合格者3000人」の目標を撤廃しましたが、合格者が2000人を下回ったのは現行の試験制度が始まった2006年以来、8年ぶりのことでした。
他方、法科大学院を経ない「予備試験」合格資格での合格者は163人で、過去最高となりました。法科大学院修了者の合格率は21.19%でしたが、予備試験合格者の合格率は66.80%と大幅な違いがありました。この「予備試験」とはどういうものでしょうか。
(写真は法務省本館)
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