社会保険労務士法人九州人事マネジメント

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今月の労務ニュース3月①

18.03.05 | 労働ニュース

●「裁量労働制」の拡大 今国会での提出を断念(2月28日)
●女性の給与が過去最高に(2月28日)
●「地域限定正社員」の普及を企業に要請へ 厚労省(2月27日)
●教員の給与の仕組み改善へ議論開始 自民党(2月27日)
●労基署の指導員を約5割増員へ(2月26日)
●「100平方メートル以下喫煙可」受動喫煙対策案を了承(2月22日)
●「契約社員への扶養手当不払いは違法」大阪地裁が初判断(2月21日)
●「裁量労働拡大」「高プロ」の施行時期延期を検討 厚労省(2月20日)
●労働法でフリーランスの保護を検討 多様な働き方を後押し(2月20日)
●年金受給開始年齢「70歳超」も可能に 政府検討(2月16日)
●高校生の就職内定率91.5% バブル期の水準まで回復(2月16日)
●厚生労働省が転職情報サイトを運営へ(2月16日)
●フリーランス契約の問題事例を公表 公取委検討会(2月15日)
●「親会社の責任は状況次第」セクハラで最高裁(2月15日)
●タクシー運転手の残業代請求を棄却 東京高裁(2月15日)

●「裁量労働制」の拡大 今国会での提出を断念(2月28日)
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安部首相は、裁量労働制の対象拡大に関する内容を「働き方改革法案」から切り離し、今国会への提出を断念する方針を明らかにしました。不適切データ問題への批判が高まり世論の理解が得られないと判断したためです。高度プロフェッショナル制度や時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金を含などについては、引き続き今国会での法案成立を目指します。

●女性の給与が過去最高に(2月28日)
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厚生労働省が2017年の「賃金構造基本統計調査」の結果を発表し、フルタイムで働く女性の平均月給が24万6,100円(前年比0.6%増)となり、4年連続で過去最高を更新したことがわかりました。男性は33万5,500円(同0.1%増)で、男女間の格差は2年連続で最小を更新しました。また、正社員と非正社員の格差は、非正規で働く女性が増えた影響で広がりました。

●「地域限定正社員」の普及を企業に要請へ 厚労省(2月27日)
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厚生労働省は、「地域限定正社員」の導入を企業に要請する考えを明らかにしました。学生の就職後のミスマッチを防ぐのがねらいで、キャリアパス等の待遇に関する情報開示についても求めていく考えです。3月中に若者雇用促進法に基づく指針等を改定する方針となっています。

●教員の給与の仕組み改善へ議論開始 自民党(2月27日)
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自民党の教育再生実行本部は、教員の給与に関する法律の見直しについての議論を始めました。残業代を出さない代わりに基本給の4%を上乗せして支給する仕組みの改善や、勤務実態に応じた処遇、追加の財源負担が今後の論点となり、5月頃までに政府の「骨太の方針」に反映させます。

●労基署の指導員を約5割増員へ(2月26日)
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厚生労働省は、主に中小企業を対象とした長時間労働の是正指導強化のため、労働基準監督署の指導員を増員する方針を明らかにしました。指導員は非常勤で雇用した社会保険労務士などが担い、企業の担当者が三六協定の提出時などにルールを守るよう窓口で説明・指導などを行います。2018年度に5割程度増やす方針です。

●「100平方メートル以下喫煙可」受動喫煙対策案を了承(2月22日)
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自民党の厚生労働部会は、受動喫煙対策を強化する健康増進法の新たな改正案を了承しました。既存の小規模飲食店については、厚生労働省が昨年示した当初案より大幅に規制を後退させ、個人経営か資本金5千万円以下で客席100平方メートル以下であれば、「喫煙」「分煙」を表示すれば喫煙を認めます。同省は今国会に改正案を提出し、2020年4月の全面施行を目指します。

●「契約社員への扶養手当不払いは違法」大阪地裁が初判断(2月21日)
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日本郵便の契約社員ら8人が、同じ仕事内容の正社員と手当等に格差があるのは労働契約法に違反するとして計約3,100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は、扶養手当など3種類の手当の不支給を違法と判断し、計約300万円の支払いを同社に命じました。弁護団によると、正社員と非正規社員の待遇格差をめぐり扶養手当の不支給を違法とした判決は初めてです。同社は判決を不服として控訴しています。

●「裁量労働拡大」「高プロ」の施行時期延期を検討 厚労省(2月20日)
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厚生労働省は、働き方改革関連法案に盛り込む「裁量労働制の対象大」と「高度プロフェッショナル制度の新設」について、施行時期を1年遅らせ、2020年4月とする検討を始めました。裁量労働制に関するデータが不適切だった問題で国会審議が混乱しており、周知・対策等の期間を確保し、法案成立に理解を求める構えです。

●労働法でフリーランスの保護を検討 多様な働き方を後押し(2月20日)
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政府は、特定の企業や団体と雇用関係を持たずに働く「フリーランス」について、労働法の対象として保護する検討に入りました。
仕事を発注する企業側との契約内容を明確にし、報酬に関しては業務ごとに最低額を設けて不安定な収入を政策で下支えします。法整備の議論を進め、2021年の法案提出を目指すとしています。

●年金受給開始年齢「70歳超」も可能に 政府検討(2月16日)
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政府は、公的年金の受給開始時期について「70歳超」も選べるようにする制度の検討を盛り込んだ「高齢社会対策大綱」を閣議決定しました。今後、厚生労働省で年金の具体的な制度設計を検討し、2020年中の関連法改正案の国会提出を目指します。

●高校生の就職内定率91.5% バブル期の水準まで回復(2月16日)
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文部科学省は、今春卒業予定で就職を希望する高校生の就職内定率(2017年12月末時点)が91.5%(前年同期比0.6ポイント上昇)だったと発表しました。内定率の上昇は8年連続で、バブル期の水準まで回復しました。

●厚生労働省が転職情報サイトを運営へ(2月16日)
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厚生労働省は経済産業省と連携し、2019年度にも無料職業情報サイトを立ち上げることを明らかにしました。転職市場の活性化を目的とするもので、米国政府が運営する職業情報サイト「オーネット」を参考にします。AIを活用して最新情報を収集・更新し、転職希望者に500職種から最適な職業やその詳細を提示します。

●フリーランス契約の問題事例を公表 公取委検討会(2月15日)
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公正取引委員会の有識者会議は、いわゆる「フリーランス」など企業に比べ立場の弱い個人の働き手を保護するため、独占禁止法を適用する、問題のある事例を報告書として公表しました。企業側が過剰な秘密保持義務を課すケースや、一方的に報酬を減額するケースなどを、優越的地位の乱用などに抵触するおそれがあるとしました。
〔関連リンク〕
 「人材と競争政策に関する検討会」報告書(概要)
 http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.files/180215zinzai02.pdf

●「親会社の責任は状況次第」セクハラで最高裁(2月15日)
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グループ会社で発生した従業員間のセクハラについて、被害の相談を受けた親会社に責任があるかが争われた訴訟の判決で、最高裁判所は被害女性側の訴えを退けました。親会社の責任について「相談時の具体的状況や窓口の体制によっては適切に対応すべき信義則上の義務を負う」とし、今回のケースでは親会社の責任を認めませんでした。
〔関連リンク〕
 最高裁判例(平成30年2月15日、最高裁判所第一小法廷)
 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87458

●タクシー運転手の残業代請求を棄却 東京高裁(2月15日)
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時間外労働をしても残業代を差し引くと定めた賃金規則は違法だとして、タクシー会社(国際自動車)の従業員が規則の無効を求めていた訴訟の差し戻し審の判決で、東京高裁は、この規則を有効とし、従業員の請求を棄却した。原告側は即日上告しました。

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