税理士法人ユリウス

相続開始前になすべきことは?①

18.04.09 | コラム(相続税)

_前回は遺産分割をスムーズに進めるためには、何より生前からのコミュニケーションが大切だというお話をしました。
 しかし、「そんなこと言われても、昔からお互い仲が悪いから今更無理だよ。」、「それが出来れば、苦労しません。」という声が聞こえてきそうです。
 確かに言われるとおりです。 
 また、たとえ被相続人となる親等が生きている時は、みんな仲良く、そして財産も平等に分けようと話し合って安心していても、その親等が亡くなったとたんに相続人間で主張の対立が発生することもあります。 
 しかし、だからこそ生前からの相続対策が必要なのです。

_繰り返しになりますが、まずは良好な人間関係の構築、そして次に具体的になすべきことは遺言書の作成です。

 基本的に遺産分割は遺言書に沿って行われます。 但し、遺言書がない場合やあっても相続人間で遺産分割協議を行いそれがまとまれば、その内容に沿って遺産分割が行われます。
 このため、いずれにしても遺産分割は必ずしも民法上の法定相続割合で行う必要はありませんが、遺言書がなく遺産分割協議がまとまらなければ、遺産分割は出来ず、相続財産は各相続人の民法上の法定相続割合による共有財産となってしまいます。
 遺言書の作成が必要だとよく言われるのは、このようなことが起こらないようにするための手段なのです。
 
 遺言書の作成方式はいくつかありますが、一般的なのは、①自筆証書遺言と②公正証書遺言です。

 ①自筆証書遺言
 遺言者が民法で定められた規定の事項及び全文を自署し、押印したものです。手軽に作成できるメリットがありますが、記載事項の不備で無効になったり、紛失や偽造の可能性がある等のデメリットがあります。
 また、相続人は家庭裁判所に対して当該遺言書を提出の存在及び内容を知らせてもらい、変造・偽造等がないことを確認してもらわなければなりません。これを検認と言いますが、あくまで当該遺言書が本物であるかどうかの確認であり、内容自体について有効か無効を判断するものではありません。
(なお、現在、2020年4月以降に一部パソコンでの作成や法務局での保管が可能になる等要件緩和の方向で改正がなされる予定です。)

 ②公正証書遺言
 証人2人以上の立会いの下、遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がそれを筆記し、遺言者と証人に読み聞かせたり閲覧させたりしながら作成するものです。そして、最後に遺言者、証人及び公証人が署名・押印します。
 作成費用がかかるデメリットはありますが、遺言書の内容が無効になったり、変造・偽造の恐れがないことから、遺言書は公正証書遺言方式で作成した方が確実です。

 詳細は専門家と相談していただくことになりますが、いずれにしても、後々、後悔しないためにもぜひ遺言書の重要性をご理解いただければと思います。

植田ひでちか税理士事務所
税理士 千田 啓介

 

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