桂川会計(桂川淳税理士事務所) 

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歯科医療費負担の国際比較

14.06.08 | 業種別【歯科医業】

一部の歯科医師の間では、先進各国の中での
日本の歯科医療費単価の低さが問題になります。

特に差が著しいのが歯根の治療で、
日本が保険診療で約4700円(前歯)
~約8700円(臼歯)なのに対して、
民間保険主体のアメリカは約10万円~20万円、
スウェーデンでも約3万円~6万円となっています。

歯科業界誌編集長の手記

アメリカでは、「オバマケア」で
強制加入となった民間保険で
給付されるとしても、その分、
保険料が高くなります。

スウェーデンでは、成人の歯科医療は
自己責任との考え方により公的給付の
対象から実質的に外され、公的歯科保険
(全員加入ではない)の被保険者でも、
約6万円までの医療費は全額自己負担のため、
経済的に厳しい家庭では受診そのものを控える傾向にあります。

近年、「日本の社会保障は持続可能なのか」という
意見がありますが、むし歯治療、歯周治療、欠損補綴など、
成人特有の歯科医療まで社会保障の枠に広く入れている国の方が例外的なのです。

「○○を保険から外すのはどうか」という意見が出てきても
不思議ではありません。それらの中に歯科が含まれる可能性があります。

歯科医師の多くは保険診療の単価の安さに疑問を持っており、
その分、1日に診療する患者数を増やす傾向にあります。

歯科疾患の有病率が日本だけ特異的に高い、ということを
合理的に説明できるモデルは考えにくく、何度も受診させては
終了のメドも立たない、ということになります。

これは結局、患者利益に反していると考えられます。

歯科医療費の国際比較を広く示して、
「被保険者にとって、日本の歯科医療は、
少なくとも単価の安さの面では恵まれているのだ」ということを
知ってもらう必要があるのかもしれません。

【記事提供元】
月刊アポロニア21(日本歯科新聞社)
編集長:水谷惟紗久

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