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長時間労働が引き起こす過労死!その実態と対策

14.07.18 | 安全衛生

今回は、日本で深刻化している長時間労働による過労死について解説していきます。

最近、アメリカやヨーロッパでは、日本の過労死のニュースがよく報道されています。オックスフォード英語辞典に「karoshi」として英単語登録されるほど、世界的に共通の言葉になりつつあるようです。

日本人はアメリカ人よりも年間200時間以上、フランス人よりも年間500時間以上働いていると言われています。 

長時間労働による疲労の蓄積によって、脳、心臓疾患を発症、又は慢性疲労や過度のストレスによる精神疾患等で休職する社員が急増しています。このような休職者を増やさないためにも、社員の正確な労働時間を把握し、長時間労働する社員及びその上司に対しては長時間労働を減らすよう会社で管理、指導を行っていく必要があります。労働時間の適正な把握は、安全配慮義務がある会社にとって、社員の健康被害を抑止する有効な手段といえます。
 

労働安全衛生法では長時間労働者への医師による面接指導制度を設けています。時間外、休日労働が月100時間を超えた場合、申出をした社員に対して医師による面接指導を実施しなければなりません。医師から必要な措置について意見聴取を行い、適切な事後措置が必要となります。 

残業の原因は、「仕事量が多い」ことが一番に挙げられますが、仕事量が変わらなくても、管理職の指導とルール運営を変えれば、社員の仕事に対する態度や業務の効率化が進み、残業時間を必要最小限に抑えることができます。例えば、ノー残業デーの導入、労働時間削減検討委員会の設置、人事考課査定項目に業務効率化を組み込む、労働時間短縮マニュアル作成などによって長時間労働が抑制されると考えられます。社員一人ひとりの能力を存分に発揮させるために、長時間労働奨励主義の会社風土を変えて働く環境を整えるべきです。 

また、会社が社員の健康障害を防ぐ努力を怠った場合、社員や家族から訴えられるリスクがあります。国が、「病気を発症したのは会社側の責任」と認めた場合、民事による会社側の安全配慮義務違反を追及する損害賠償訴訟が起こることが予想され、会社は何千万円、何億円という賠償を支払う必要が出てきます。 

平成12年に最高裁で判決が下された電通過労自殺事件では、長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた当時24才の社員がうつ病で自殺したことにより、業務遂行とうつ病による自殺との間に相互因果関係があると認められ、その社員の遺族に対し、1億6800万円を支払うとの和解が成立しました。 

過労死は社員にとっても、会社にとっても不幸な結果を招いてしまいますので、過重労働に対して残業代を支払えばいいという考え方は捨て、大切な社員の健康や会社の社会的信用をしっかり守っていくことが会社の責務であると考えていきましょう。

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