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現場の士気を高める『朝礼』のコツとは

19.11.05 | 業種別【建設業】

建設業の現場では、毎日朝礼が行われています。
朝礼は、建設現場にかかわる作業員たちの士気を高める大事な場です。
一方で、毎日行うがゆえに形骸化してしまいやすいという側面もあります。
特に、朝礼の場で現場監督が発言しなければならないことは少なくありませんが、ある程度内容が決まっているとはいえ、毎日同じようでは作業員の耳に届かないおそれもあります。
そこで今回は、朝礼の意義を再確認しながら、効果的に行うためのヒントを紹介します。

建設現場の朝礼の一般的な流れ

そもそも建設現場ではどのような朝礼が行われているのでしょうか?
建設現場でよく行われている朝礼は、次のような流れになっています。

(1)ラジオ体操
まず、ラジオ体操で体を起こします。

(2)KY活動(危険予知活動)
KY活動とは一般的に、業務を始める前に作業中に起こりうる災害を想定し、その防止対策を立てることをいいますが、その内容は現場や工程、担当作業によってさまざまです。なかには、現場の作業員が持ち回りで『どのような危険が考えられるか』『危険への対策をどう取るか』について発表する現場もあります。また、現場によってはKY活動を朝礼の最後に持ってくるところもあります。

(3)その日の作業内容の確認など
ラジオ体操やKY活動が終わると、いよいよ本題です(この部分のみを『朝礼』と呼ぶ場合もあります)。 ここでは、その日の作業内容についての確認や、現場監督の講話などが行われるのが一般的です。優秀な作業員を表彰する現場もあるようです。

(4)安全の呼びかけ
朝礼の終わりには、整列して、全員で『安全の呼びかけ』を行います。たとえば、その日の進行役が「ヘルメットよいか」と呼びかけたら、全員で「ヘルメットよし」と声を揃えて応えるなどです。最後には全員で「ご安全に!」と言って一礼して解散します。


なぜ、朝礼が大事なのか

毎日、基本的に同じ流れで行われる朝礼。
「同じような内容であれば、毎日行わなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、常に命の危険にさらされているといっても過言ではない建設現場では、朝礼は重要な役割を担っています。

第一に『体を目覚めさせ、安全に意識を向かわせる』ということ。
その点で一役買っているのが、ラジオ体操です。
ラジオ体操はだらだら取り組んでしまうと効果がありませんが、しっかり取り組めば全身の筋肉や関節がほぐれ、体のスイッチが入ります。
また、毎日同じ動きをするため、自身の体調の変化にも気づきやすくなります。
その日の体調のよしあしをラジオ体操でチェックする作業員もいるようです。

また、KY活動でこれから行う作業に潜む危険を予知することは、作業のイメージトレーニングにもつながるほか、思考の訓練にもなります。
これを行うことで、作業の安全度が高まるのはいうまでもありません。

最後に行う安全の呼びかけでは、大きな声を出すことで気が引き締まります。
このように、真剣に取り組めば、朝礼はその後の仕事のパフォーマンスを上げることにつながるのです。

しかし一方で、『毎日現場監督の長い講話を聞くのが辛い』『飽きる』などの理由から、朝礼を敬遠する人がいることも事実です。
とはいえ、朝からだらけてしまうとその日一日に影響が出てしまいます。
そういった意味でも、朝礼を成功させることは大事なことです。


朝礼を効果的に行うポイント

では、朝礼を成功させるためにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
実際に効果があったとされる方法をご紹介します。

・講話では、テーマを最初に述べる
人は、要点がつかめない、いつ終わるかもわからない話を聞くことに苦痛を感じやすいものです。そこで、最初に『これから何を話すのか』というテーマを伝えましょう。そうすれば、聞く側も話の要点をつかみやすくなります。

・話はできるだけ短くまとめる
また、講話はできるだけ簡潔に話すことを心がけましょう。話をスッキリとまとめたほうが言いたいことも伝わりやすいですし、時間の短縮も見込めます。実際に、朝礼の時間を短縮させることで作業員の心理的負担が減り、士気が上がったという現場もあります。

・作業員が関心のあることをネタにする
たとえ数分であったとしても、自分に関係のないことを聞き続けるのは疲れるものです。逆にいうと、作業員たちに関心を持たせればよいのです。そういった意味では、作業員たちにKY活動を持ち回りで発表させるというのはよい方法です。現場監督の講話でも、『どんな話をすれば作業員が面白いと感じるだろう』という視点でネタを探してみるとよいかもしれません。

・作業員同士のコミュニケーションの機会を作る
近年は、ラジオ体操に加えて、作業員同士の『肩もみ』を取り入れている現場も増えています。建設現場では知らない者同士が一緒に働くことも多くありますが、一列に並んで前の人の肩をもんだりたたいたりすることで、作業員たちの一体感を高めることができます。

・情報を視覚的にわかりやすく伝える
情報を周知徹底するために、朝礼看板の変わりに、デジタルサイネージを活用するという方法もあります。画像や動画を大型モニターに表示できるため、図面や搬入口、立ち入り禁止区域などを表示して、情報を視覚的に、よりわかりやすく伝えられるというメリットがあるほか、映像を繰り返し見られるようにすれば、見落としを防ぐこともできます。気象情報などをリアルタイムで取得して自動表示することもできるため、作業効率化も狙えます。

マンネリ化しがちな建設現場の朝礼ですが、やり方次第で現場に活力を呼び込むことができます。
むずかしく考える必要はありませんので、ぜひ楽しみながらいろいろ工夫してみてください。


※本記事の記載内容は、2019年11月現在の法令・情報等に基づいています。

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