森総合税理士法人・㈱森総合コンサルティング

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既往歴の確認と医科との連携

14.09.07 | 業種別【歯科医業】

「医科歯科連携」の重要性が叫ばれています。

この背景には、人口構造の高齢化があり、高齢者の多くが何らかの基礎疾患を持っているため、全身状態を確認しなければ抜歯などの処置に危険を伴うからです。

歯科業界誌編集長の手記

しかし実際には、他科医療機関で患者さんの歯科受診について問診していない場合が多いことと、患者さん自身も「現在、糖尿病で加療中」などの情報を歯科医院側に伝える必要を感じていないことが多く、連携を妨げています。

さらに従来の歯科医師が、病院で行われる臨床検査の数値の意義を理解していない場合が一般的だったため、「連携」は、長らく一種の掛け声に終わっていた感があります。

近年になり、現場の意識が変わってきました。
従来であれば、患者さんの所見により「危ないな」と判断した歯科医師が、患者さんから内科系の主治医を聞き出し、「抜歯の可否を教えて下さい」と、ただ聞くだけだったのですが、最近、「●●の部位の抜歯を検討しているので、直近のPT-INR値(血液凝固能の国際標準)を教えて下さい」と質問することが多くなりました。
このように検査数値を読める歯科医師が増加していることは望ましいと言えるでしょう。

さらに、平成26年の歯科医師国家試験から、臨床検査数値が出題されるようになりました。
これにより、患者さんの全体像を数値によって評価し、適宜、医師と連携が取れることが歯科医師として最低限の要件となったのです。

例えば、糖尿病の人、ステロイド服用中の膠原病の人であれば易感染性が疑われるため、抜歯前の抗生剤術前投与が必要です。
骨粗しょう症でビスフォスフォネート製剤などを服用している人であれば、口腔清掃を徹底しなければ抜歯時に顎骨壊死という重い合併症のリスクがあります。

歯科医療現場では、これら全身状態の把握を臨床検査によらず、概ね問診によって把握する必要があり、問診の重要性が高まっているのです。


【記事提供元】
月刊アポロニア21(日本歯科新聞社)
編集長 水谷惟紗久

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