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税理士の佐藤です。・・・『日本で一番大切にしたい会社』

09.02.09 | 所長通信

大企業が大量の派遣切りをするなか、社員の7割が障害者という中小企業で増収増益を続ける会社があります。

 障害者の法定雇用率を達成している企業の割合が42%しかない中、今よりもずっと障害者に対する世間の偏見が強かった50年前から障害者を積極的に採用し増収増益を続けている会社があります。
 そこには涙なくして語れないストーリーがありました・・・

この話は『日本で一番大切にしたい会社』坂本光司著(あさ出版)で紹介されている。
日本理化学工業㈱という川崎市にある会社のお話です。

この会社は主に粉の飛ばないチョークを製造している会社なのですが、50年ほど前に近くにある養護学校の女性の先生が訪ねてきて二人の障害のある少女を採用してほしいと熱心に頼み込んだそうです。
社長は悩みました、その子たちを雇うのであればその一生を幸せにしてあげなければならないと、結局社長は断ります。

しかしその先生はあきらめずまたやって来ます、又断ります、またやって来ます、それでも断ります。
3回目の訪問のとき、先生はついにあきらめてこう申し出ます
「就職が無理なら、せめてあの子たちに働く体験だけでもさせてくれませんか?そうでないとあの子たちは働く喜び働く幸せを知らないまま施設で暮らして死ぬことになってしまいます。あの子達は健常者よりはるかに寿命が短いんです」

必死にお願いする先生に社長は心を打たれ
「一週間だけ」
ということで障害を持つ二人の少女に就業体験をさせてあげるとにしました。

この話が決まると喜んだのは子供達だけではありませんでした、先生方はもちろんご父兄たちまでたいそう喜んだそうです。

その子たちは雨の降る日も風の強い日も、毎朝7時には玄関に来ていたそうです。
親御さんたちは夕方3時くらいになると心配で遠くから見守っていたそうです。
そうして一週間が過ぎ、就業体験が終わろうとしている前日のこと
「お話があります」
十数人の社員全員が社長を取り囲みました。
「あの子たちを正規の社員として採用してあげてください、もしあの子達に出来ないことがあるなら私たち全員でカバーしますから・・・」
社員みんなの心を動かすほどその子たちは朝から就業時間まで一生懸命働いたのです。
仕事は単純作業でしたが昼休みも、10時3時の休みも一心不乱に仕事をして手を休めようとしないのです。
本当に幸せそうな顔をして一生懸命に仕事をしたそうです。
社長は少女達を正社員として採用することにしました、それ以来障害者を少しづつ採用するようになったのですが社長には一つだけ解らないことがありました。

どう考えても会社で毎日働くより施設でゆっくりのんびり暮らしたほうが幸せなのではないかと思えたのです。
ミスしたときに「施設に帰すよ」というと泣きながら嫌がる障害者の気持ちが分からなかったのです。

あるとき禅のお坊さんに尋ねてみました。
するとそのお坊さんは
「そんなこと当たり前でしょう。幸福とは、①人に愛されること②人に褒められること③人の役にたつこと④人に必要とされることです。このうち②③④は施設では得られないでしょう。この三つの幸福は働くことによって得られるのです」と教えてくれました。

社長は目からうろこが落ちました。
普通に働いている多くの人たちが忘れていることを障害者の方によって教えられたのです。
社長は「人間にとって生きるということは必要とされて働き、それによって自立することなんだ」と気づいたそうです。

「それなら、そういう場を提供することこそ会社の存在価値であり社会的使命なのではないか」
それをきっかけに、以来50年間障害者を雇用し続けることになったのです。
その間チョークの需要は年々減少し厳しい環境にはありますが、障害者と健常者との協働によりさまざまなアイディアで新商品を開発していきました。
これも障害者の雇用を出来る受け皿をさらに広げたいという社長の思いから始まっているのです。

著者がこの会社を訪ねて行った時のこと、応接室にコーヒーを持ってきてくれたお婆さんがいました。

「よくいらっしゃいました。どうぞコーヒーをお飲みください」
ぽつりと小声で言ったお婆さんこそが50年前に入社した少女だったのです。

腰が曲がって、白髪でした。彼女が会社に勤め始めて50年間。
その彼女を暖かく見守り、ともに働いてきた社長をはじめとする同僚や上司の方々。

山もあり谷もあったであろう、喜びも悲しみもあったかもしれません。年月の重さが一瞬のうちに想像され涙をこらえることができなかったそうです。
小さな会社でも自分たちのできることを精一杯行い、さまざまな工夫を重ねて、障害者のような弱者である人々と共に仕事をしている会社、日本で一番大切にしたい会社。

私もそんな会社を心から応援したいと思います、そしてそんな会社が一社でも多く育っていくことのお手伝いが出来れば会計人として最高に幸せなことだと思います。

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