TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

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2020年『日本人の勝算』を考えたい!~「人口増加」から「人口減少」へのパラダイムシフトを~

20.01.14 | 勉強会・セミナー

■ 4月から「働き方改革関連法」中小企業への本格施行スタート

オリンピック&パラリンピック・イヤーでもある2020年・・・
「成人の日」をはさむ三連休も明けて、いよいよ本格的なスタートです!

2020年4月から「働き方改革関連法」の中小企業への本格施行がスタートすることもあり、
今年は当グループといたしましても、「ひと」「働き方改革」という、日本の企業そして経営者が避けては通れない大きな課題に、正面から取り組んでいきたいと意気込んでいます。

■ デービッド・アトキンソン著『日本人の勝算』

昨年来、既にメルマガ等でもご紹介させていただきましたが・・・
長く日本に住み、ゴールドサックス金融調査室長を経るも、いわゆるマネーゲームを達観し、
日本の国宝・重要文化財の補修などを手がける小西美術工藝社社長へと転じた、
日本を愛する伝説のアナリスト、デービッド・アトキンソンが著した「日本人の勝算」

これからの経営を考えるにあたって、日本の経営者として是非とも読んでおきたい一冊です。

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4月から「働き方改革関連法」中小企業への本格施行スタート

オリンピック&パラリンピック・イヤーでもある2020年・・・
「成人の日」をはさむ三連休も明けて、いよいよ本格的なスタートです!

2020年4月から「働き方改革関連法」の中小企業への本格施行がスタートすることもあり、
今年は当グループといたしましても、「ひと」「働き方改革」という、
日本の企業そして経営者が避けては通れない大きな課題に、
正面から取り組んでいきたいと意気込んでいます。


■ デービッド・アトキンソン著『日本人の勝算』

昨年来、既にメルマガ等でもご紹介させていただきましたが・・・
長く日本に住み、ゴールドサックス金融調査室長を経るも、
いわゆるマネーゲームを達観し、日本の国宝・重要文化財の補修などを
手がける小西美術工藝社社長へと転じた、日本を愛する伝説のアナリスト、
デービッド・アトキンソンが著した「日本人の勝算」
これからの経営を考えるにあたって、
日本の経営者として是非とも読んでおきたい一冊です。

「人口減少」×「高齢化」×「資本主義」の中で、日本はどう生きていくのか?

私自身、外国人の視点から「愛する日本へのメッセージ」と受け止めました。
国内だけに目が向きがちな、我々日本人よりも、世界から日本を俯瞰し、
従来のパラダイムのシフトをも迫る、長期的なビジョンから鋭く、示唆に富む指摘の数々・・・
 
私自身、今年の仕事始めにあたり、当社全体朝礼でも全社員に対して、
「多くの企業を支える会計人として、是非とも一読を!」
と強く薦めた次第です。


■ 今こそ、パラダイムシフト(思考の枠組みの転換)を!

詳しくは、同著に譲りますが。。。
今、日本には大きな『パラダイムシフト』が訪れていることを、
著書の冒頭から強調するアトキンソン氏。
 
日本ではそれまで常識と考えられていたことが、もはや通じなくなりつつことに、
日本人は、もっと危機感を持って、政府・企業・経営者・全国民に、早く気づいて欲しい。
『パラダイムシフト』せざるを得ない原因は、人類史上いまだかつてない急激なスピードで進
んでいる、ほかならぬ「人口減少」「高齢化」です。

「人口増加」というパラダイムから、
「人口減少・高齢化」というパラダイムに
シフトしているにもかかわらず・・・
「井の中の蛙」で、日本人は思考の枠組みを
変えていないのではないか。

その証拠に、日本で実際に議論されている政策は・・・
「消費税増税」
「外国人労働者受け入れ」
「デフレ対策のための量的緩和」
「ゼロ金利」
「財政健全化」等々。
言ってみれば、「人口が増加する」というパラダイムの下に創られた経済システム
微調整しているだけ。。。

これまでと置かれている社会状況、経済の前提が、大きく変わっているのに・・・
思考の枠組みが、まったく変わっていない日本。
今までの延長のような、視野の狭い、目の前だけの政策に終始していては、
「日本に勝算はない!」とまで、あえて直言して、
「日本よ!気づけ!!」とばかりに、日本に強く警鐘を鳴らして(くれて)いるのです。


■ このままでは、減少し続けてしまうGDP(国内総生産)。。。

アトキンソン氏は、分かりやすい、いくつかの例とともに、
このままでは日本が陥ってしまう深刻な課題を問いかけています。
 
例えば、GDP(国内総生産)・・・
人口減少・高齢化によって、とりわけ15歳~64歳までの生産年齢人口が急減すると、
GDPは、いったいどうなってしまうのか? 

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」をベースに、
アトキンソン氏が作成した推移表を見ただけでも、
ぞっとするほど、GDPに及ぼす影響は火を見るよりも明らかです。

確かに、今の段階では、GDP総額では世界第3位の経済規模を維持している日本。
当然ながら、
GDP(国内総生産)=「労働人口」×「一人当たり生産性」で計算される以上、
「労働人口」が右肩下がりになっていく日本では、
GDP総額を維持するだけでも(=経済成長しなくても)、
「一人当たり生産性」を右肩上がりにしていくしかないのは明らかです。


もし「一人当たりの生産性」が上がらなかったら???

同著資料によれば、日本では生産年齢人口が、
7,618万人(2015年)⇒4,418万人(2060年)へと減少することが予測されるなかで、
今のGDP総額を維持するためだけでも、生産年齢人口の「一人当たりGDP」を、
723.8万円(2015年)⇒1,258.4万円(2060年)まで引き上げなければなりません。

もし生産年齢人口の「一人当たりの生産性」が
上がらなかったとしたら
・・
年金や医療費などの社会保障費が、
今よりも膨らまなかったと仮定しても、
64歳以下の人に対する社会保障負担率は、
36.8%(2015年)⇒64.1%(2060年)
という、恐ろしい事態が待ち受けています。

「こんなに重い負担に耐えられるはずはない!」
だからこそ、アトキンソン氏は、こんなにも強く日本に警鐘を鳴らすのです。


「これでは国が滅びてしまう!」

アトキンソン氏の警鐘は、さらに続きます。。。
日本の借金1,200兆円が、GDP比率ですでに世界一の高さであることは、
広く知られているところです。
仮に、40年後の2060年までこのまま借金総額が増えなかったとしても・・・
今の「一人当たり生産性」のままだと、労働人口が増えない以上、
「GDP総額」が減少し続けることにより、借金のGDP比率は、今の2倍以上にも膨らんでしまう。

「これでは国が滅びてしまう!」
 
2015年からの45年間で、ナント3,264万人も生産年齢人口がいなくなってしまう
ということは、世界第5位の経済大国イギリスの労働人口3,211万人が、
“ごそっと”世界第3位の日本経済から消えていなくなってしまうことなのだと。。。

確かに政府も、労働生産人口増に向けた様々な政策を急いでいますが、
日本の経済力は「人口増加」に支えられてきた現実を、冷静にしっかりと見つめ直して、
過去のパラダイムから発想転換しなければならない・・・ことを、
こよなく日本を愛する外国人アナリストとして、
「日本よ!気づけ!!」と言わんばかりに、強く指摘し続けて(くれて)いるのです。


■ 将来に向けての「日本の処方箋」は???

それでは、将来に向けての「日本の処方箋」は???
「人口が増加」するというパラダイムの下につくられた、従来の経済システムでは、
「人口減少」「高齢化」という、別次元のパラダイムに対応できるはずがない!
従来の制度を根本から考え直して、つくり直すしかない!
こう断言する、アトキンソン氏。


■ 日本人の所得を、継続的に上げること!

アトキンソン氏が提唱する、これからの「日本への処方箋」です。

年金制度、消費税、国の借金という日本人が抱える諸課題は、
そもそも日本人の所得が低いことに由来している。

だから、まずは所得を継続的に上げること!
そのためのトリガー(引き金)は、最低賃金を継続的に引き上げること!

政府、日本企業、経営者、ひいては全国民を、強制的に動かすトリガーともなり得る
「最低賃金の引き上げ」を継続的に実行できれば、
「労働者一人当たりの生産性」が上がる(上がらざるを得ない)!

生産性向上のためには「企業の規模」自体を大きくする必要がある。
「企業規模拡大」によって、輸出もできるようになり、市場規模も広がり、技術の普及も進む。
日本人の所得が増えれば、税収が上がり、株価も上がり、財政も健全化する!


■ 「人手不足」の呪縛から解き放たれて。。。

しかしながら、アトキンソン氏は、企業や経営者に向かって、こう指摘することも忘れません。
企業や経営者は、自己中心的に、短期的に考えれば、
そう簡単に従業員の所得を向上させることはあり得ないだろう。
所得向上の実現のために必要不可欠な企業規模の拡大も、自ら進んで実行するとは思えない。

日本の「人手不足」は、あくまでも「ひとを安く使うという、今までの経済システムを維持したい」
という前提の下で、「日本人の数が減るから、人が足りなくなる」と言っているだけ。

人手不足なら、人をより効率的に使う仕組みをつくればよいだけ!
これもまた『パラダイムシフト』と言い切る、アトキンソン氏です。
 
まさに、何を前提としての「人手不足」なのか・・・

これまでのパラダイム、思考の枠組みを考え直して、
これまでの「人手不足」という呪縛から解き放たれる時期に来ているようです。


■ 『日本人の勝算』に気づいて、行動開始を

アトキンソン氏は、『パラダイムシフト』『要石』となるのが、
「最低賃金の引き上げ」だという結論に至った旨、
著書『日本人の勝算』を通じて、説得力ある展開をしています。

「世界に冠たる優秀さ」を備える日本人と日本社会の潜在能力を発揮するには、
まずは「人口増加」という、これまで大前提だった、
経済システムのパラダイムを変革しないといけない。

政府、企業、経営者、すべての日本人が、
この『日本人の勝算』に気づいて、行動を開始することを願ってやまない。
 
確かに、政府が急ぐように「最低賃金」を引き上げているのも、
「最低賃金」の引き上げが、企業、経営者、従業員に「生産性向上」を強いる、
大きなトリガーになることを知っているからでしょう。

日本はこの先もずっと労働力不足状態が続き、
今の社員数の6割~8割で、同じ量の仕事をこなしていなかければならないとも言われるなか・・・
「生産性向上」を実現しないと、企業として生き残っていけない時代に入りつつある。。。

そんな危機感、肌感覚を抱かれている方も、少なくなくないと思います。

「ひと」「生産性向上」「働き方改革」などの諸課題に、
大切な皆さまとご一緒に、今年一年間、しっかりと向き合っていきたいと思います。

何卒、宜しくお願い申し上げます。

                  2020年1月
             山  崎   泰

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