宮田総合法務事務所

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認知症後も暦年贈与を実行できる仕組みとは?

20.02.25 | 暮らし・人生にお役に立つ情報

老親が認知症を発症するなどして判断能力が低下・喪失してしまった後も、子や孫に暦年贈与を実行し続けたいという親側・子側のご希望は結構多いです。

これを実現できる仕組みとして、「家族信託の受託者による暦年贈与の実行」というのは、やってはいけません!

受託者が信託財産を受益者以外の者にばらまけば、“忠実義務違反”になりますし、それはそもそも「信託」の概念・理念を逸脱することになります。

では、どのようにすればいいのでしょうか?

老親が判断能力喪失後も、実質的に暦年贈与を実行する仕組みとしては、下記の2つが挙げられます。

① 生命保険を活用する方策
② 家族信託において高度な設計をする方策

以下に、簡単にご紹介いたします。

① 生命保険を活用する方策
 保険料が既に全額支払済みとなった(これから加入する場合は、親が保険料を一括払いする)死亡保険の契約において、予め契約者を老親から子に変更をしておくことで、当該契約の解約払戻権限を確保するというやり方です。
 ポイントは、既払いの保険であっても、契約者を変更しただけでは贈与税の対象にはならず、あくまで死亡保険金や解約返戻金を子が受け取った時に一時所得やみなし贈与の概念が生じるということです。
 ただし、この方策は、各保険会社の保険商品の内容によってできるできないがあるようですので、ご注意ください。


② 家族信託において高度な設計をする方策
 家族信託の設計において、信託法第89条に基づく「受益者変更権」を行使できるようにしておくことで、老親自身の贈与の意思表示を要せずに実質的にみなし贈与を実行できることができます。
 ただし、この方策は、家族信託の典型的な活用法ではなく、家族信託の応用・発展型となりますので、家族信託の実務に精通した法律専門職と資産税に精通した税理士の下で、しっかりと設計をしないと、後々に法的トラブル・税務トラブルを巻き起こしかねませんのでご注意ください。



以上、簡単にご説明いたしましたが、上記①の保険については、信頼できる保険のプランナーのご紹介も可能ですので、上記①②にご興味がある方は、弊所までお気軽にご連絡下さいませ。




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