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ブランドのファンを作るために『ディドロ効果』を利用しよう
20.03.10 | ビジネス【マーケティング】
お気に入りのシャツを買った際に、そのシャツに合わせて、靴やパンツなどを揃えたことはないでしょうか。
この心の動きは『ディドロ効果』と呼ばれています。
マーケティングの世界では、ユーザーが『ディドロ効果』を感じるさまざまな仕掛けが考えられており、多くの商品やサービスなどに実装されています。
そこで今回は、商品のブランディングなどにも欠かせない『ディドロ効果』について、詳しく解説します。
同じ価値観で統一したくなる心理効果とは?
『ディドロ効果』とは、18世紀のフランスの哲学者であるドゥニ・ディドロが書き残したエッセイが元になっています。
貧素な家に暮らしていたディドロは、ある日友人から高級ガウンをプレゼントされます。
ディドロはそのガウンのあまりの美しさに感激し、これまで使っていた古いガウンを捨ててしまいました。
さらに、高級なガウンにマッチするようにと、家具や持ち物を全て高級な物に買い替えました。
こうして、高級なガウンに合う暮らしを手に入れたディドロですが、すっかり貯金がなくなってしまいました。
このディドロのエッセイを読んだ文化人類学者のグラント・マクラッケンは、ディドロにちなんで、『自分の理想的な価値観の物を手に入れると、他の所有物や環境も同じ価値観で統一したくなる』心理現象のことを、ディドロ効果と名付けました。
近年はこのディドロ効果を念頭に置いて、商品展開を行う企業も増えてきました。
ただ闇雲に商品を提供するのではなく、色や形、コンセプトなどを統一し、きちんとブランディングを行ったほうが、売上アップに効果的だということを知っているのです。
たとえば、洋服からインテリアに食料品まで、生活に関するあらゆる商品を取り扱う『無印良品』などは、全体の色のトーンやデザインなどに統一感をもたせるブランディングを行ってきました。
無印良品の店舗を訪れた際に、思わず生活周りの全てのアイテムを無印良品で揃えたくなった人も多いのではないでしょうか。
これこそ、まさにディドロ効果を意識した商品展開といえるでしょう。
このほかにも、iPhoneやMacintoshでお馴染みのAppleなども、ディドロ効果による商品展開を成功させ、熱心なファンを獲得している企業といえます。
ディドロ効果を促す商品展開を
では、マーケティングにこのディドロ効果を取り入れていくためには、何をしていけばよいのでしょうか。
まずは、統一したコンセプトに基づく商品のラインナップを増やすことが必要になってきます。
たとえば、文具メーカーであれば、ハサミやボールペンなど、取り扱う文具のデザインに統一感を出し、同じシリーズであることを強調する必要があります。
ハサミを買ったユーザーに「次は同じシリーズのボールペンがほしい」と手を出させるような仕組みをつくり上げるわけです。
そのためには、全社一丸となって、『文具シリーズを売っていく』という意識の共有が必要になってきます。
これまで別の部署同士がそれぞれ商品化を担当していたとしたら、各部署をまとめるチームをつくり、シリーズとしてブランディングを進めていかなければいけません。
また、ブランド力を高めるための施策も必要になってきます。
どんなに統一感のあるよいシリーズを生み出したとしても、ユーザーにブランドの世界観を伝えられなければ、商品を手に取ってもらえません。
Appleはアップルストアのような専門店を作り、広告展開によって、スマートでおしゃれなイメージを浸透させました。
その魅力は全世界に伝わり、今では世界的な企業として名を馳せています。
現代はネット上で気軽に商品アピールが可能です。
自社の製品シリーズにはどのような特徴があり、どのようなユーザーを想定しているのかを世界に向けて発信することで、ブランドの世界観を広く周知させていきましょう。
このほかには、セットで購入すると安くなるサービスを打ち出したり、一つ目の商品シリーズを購入する際に値引きを行ったりなど、ユーザーがブランドに触れる機会を増やすことも重要です。
ディドロ効果は、最初に一つ目の商品を購入してもらわないことには、効果がありません。
商品を手に入れてもらって初めて、「ほかの商品も同じシリーズで揃えたい」と思ってもらえるわけです。
つまり、セット販売や初回割引などで、最初の商品購入までのハードルを下げてあげることが大切になってきます。
もちろん値引きサービスなどを行わずに最初の商品を購入してもらうのが一番であるのはいうまでもありません。
また、安売りはブランドの価値を下げてしまう諸刃の剣でもあります。
どのタイミングで初回購入のハードルを下げるのかは、十分な検討を行ったうえで実施しましょう。
ディドロ効果を利用して獲得したユーザーは、ブランドの熱心なファンになる可能性が高く、末永く会社を支えてくれる存在に育ちます。
新たなシリーズ商品を生み出す際には、そのシリーズのコンセプトを共有し、ファンを増やすような商品開発を心がけましょう。
※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。
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