税理士法人SKC

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自宅待機とテレワーク

20.04.26 | 堺俊治の独り言的情報

  4月に入って、大手企業では、テレワークが進んでいるように思いますが、中小企業ではそうはいきません。そもそも、普段の業務からネット環境が整えられていない企業が多いのです。

  私の職場は税理士法人ですので、契約先のお客様に出向いての監査業務以外の作業は、データ入力や、経営分析資料、税務書類の作成が中心ですから、全体で平均すると、デスクワークがほぼ50%超を占めます。スタッフのデスクにはPCのディスプレイがずらっと並んでいて、直ぐにでもテレワークに移行できそうな環境に思えますが、税理士法の規制もあって、テレワークで行える業務は限られています。それでも、お客様の協力もいただいて、何とかオフィスに出社する人数を概ね3割程度の人数にしています。お客様への必要な訪問は、臨時的に自宅からの直行直帰体制としましたので、スタッフは、出社はしていませんが、ほとんどの者が日中は外周りの仕事をしているという状態です。ただ東京や大阪などの大都会では移動は公共交通機関が日常的でしょうが、その点北九州圏の移動はすべて車なので助かります。それも北九州市の感染者が少ない理由の一つかもしれませんね。
  TVなどのマスメディアでは、新型コロナウィルスが終息した後の日常業務が、テレワーク中心に移行していくであろうという予想をしています。確かに、東京、大阪を中心にIT企業はもちろん、多くの大手企業では、リスクの分散、省力化、それこそ働き方改革ということでテレワークが促進されていくでしょう。しかしながら、中小企業、特に建設業や製造業、また法令によって規制されている業種などは、現状の体制の変更は難しいのではないでしょうか。マスメディアが報じているほど大きな変化がすぐに来るとは思えませんが、少なからず何らかの変化は進みそうです。テレワークの拡大は、大都会での人口集中の弊害解消には役立ちそうですが、東京圏や大阪圏でテレワークが進むと、地価や家賃相場に大きな影響が出るかもしれません。
  もう一つテレワークでわかってきたことは、現在の住宅事情でのテレワークにはかなりの支障がでるのではないかということです。現在の住宅事情が、いわゆるコロナ離婚の誘因となっているかもしれないと思うのです。テレワークをしている夫であれ妻であれ、これまでの住宅事情では、仕事に没頭できる場所を確保するのが難しいのではないかということです。これまでは、夫の書斎や妻のドレスルームなど、欲しくてもなかなかそこまで手が回らなかったのが、テレワークが当たり前になると、夫の書斎、妻のドレスルームというかそれぞれの仕事部屋の確保が住宅設計の優先事項になってきそうです。

  私どもが、関与させていただいている北九州圏の中小の事業者のお客様は、バー・スナック・クラブから収入減の影響が出始めました。飲食関係の店舗でも3月までは昨年度とほぼ変わらない売上を上げているところが多くありました。しかし4月に入ってからは、零細店舗や昨年開業したばかりのような店舗は、既に廃業を決めたところが出始めています。旅館業者への影響の大きさは、倒産報道されているとおりですが、ホテル事業者、飲食事業者、飲食関連の納入事業者、観光事業者、生花店、イベント事業者、フィットネスクラブなどの事業は、国や地方自治体からの支援を徹底して受けないと乗り越えられないと思います。この状況が続くと、当然他の事業者にも影響が出始めます。リーマンショックによる不況を上回る世界恐慌となることを覚悟して進まなければならないと思います。国や市からの支援がスムーズにいかないときは、総務省や市長へ苦情の電話やメールをどんどん入れましょう。政府や自治体の長は、安心できそうなことを言ってくれても、事業者が現場では支援が滞ったり、提出書類が多すぎて簡単に支援が受けられなかったり、拒絶に合ったりしていることを知らないのです。

  5月6日が一つの目安ですが、延長を覚悟して臨まないといけないですし、いろんな意味で、家族と地域社会とで協力し合って乗り越えていく心構えが必要なようです。

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